なんか、フョードルさんと太宰さんは数分世間話をした後から暗号で話だし私とゴンチャロフさんは黙って聞いていた。退屈そうな顔をしていたのだろう私に【ゴンチャロフしか知らないフョードル様】という題名のフョードルさんの面白エピソードを聞かせてくれた。
それくすくす笑いながら聞いていればおふたりの話し合いが終わったのか、隣に座っていた太宰さんに頬をつつかれる。
武装探偵社としての仕事がおアリでしょう?と微笑んでいるが副音声バッチリ聞こえてる。
武装探偵社の社員はみんな優秀ですからね。私一人がいなくても大丈夫ですよ?。と微笑む太宰さん……こちらも副音声も聞こえてる……
ゴンチャロフさんとちらっと視線を合わせ同時に2人を見比べる。
怖い……2人の空気が怖い……なんならもう今すぐバチって感電してそのまま爆破しそうだ……なんて思った時、フョードルさんがハッと顔を上げて口を閉じ、立ち上がる。
じろりと太宰さんを見るフョードルさんに、なんのことやら?と首を傾げる。とにかく、無事帰ってきてください。寄り道するのは許しませんからね。と伝票を持ってゴンチャロフさんと立ち去るフョードルさん。
残された私と太宰さんは首を傾げたまま見つめ合い……少ししてからデートでもするかい?と微笑まれ、私はコクリと頷いた…………
太宰、僕はあれが食べたい!買ってきて!と右斜め前から……それなら、妾はあのアイスがいいねぇ……。と左斜め前から聞こえてくる。
言うまでもなく、太宰さんと街をウロウロしていればばったり……乱歩さんと晶ちゃんに遭遇した…………というかきっと乱歩さんに計算されていたのかもしれないが……
森さん、よく許してくれたねぇ?とアイスをやめてクレープを買ってきた晶ちゃんがつぶやく。
だよね?と私を見る乱歩さんにどうしてそこまで知ってるんですか?なんて質問はしない。だって、彼は名探偵だから!と答えるのは分かりきってる。
苦笑しながらも、さすが名探偵。1部の人しか見せたことがないアルバムなのにさすがです。と言えばまぁね!!と微笑んだ。
なんて、太宰さんと乱歩さんの話に晶ちゃんと首を傾げた……
まさか、数日後にあんなことが起きるとは知らずに……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!