何故か朝から太宰さんに呼び出され、どうしたものかとフョードルさんを見ればすんなりと見送り出され、太宰さんと待ち合わせ場所に向かった。
挨拶をして、太宰さんに連れて行かれるがまま歩いていれば織田さんのお墓がある場所に着いた。
なんて言いながらも織田さんのお墓に背を預け地面に座る太宰さん。私はそんな太宰さんの隣に腰を下ろす。
近くに海へと続く川があるため遠くから船の汽笛の音が聞こえてきたりする。何も話す訳でも無くただ石像に背を預ける太宰さんの隣に座っていれば、草をふむ音が聞こえてきて、ヨコハマにこんなところがあったんですね……と聞こえてきた。
振り向けば武装探偵社の中島敦くんが手を合わせていて、視線が合えば、えっと、こんにちは?と挨拶されたので挨拶を返した。
なんて話す2人にクスッと笑う。そんな私に2人も微笑み。友人だよ。と告げた太宰さん。
風が吹いて私たちの紙を揺らす。潮の匂いが鼻を撫でるなか、さて……と立ち上がる太宰さんに私も続いて立ち上がる。
あ、そうでした!大事な会議があるからと……と言い終わる前に太宰さんがパス。と呟いて織田さんのお墓に背を向け私の手を握り歩き出す。
敦くんも大変だな~なんて思いつつ、太宰さんに引っ張られるがまま着いていく。
そういえば……今日はなんだかよく引っ張られる日だなぁ……なんて……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!