練習会のあと、玲於さんと、慎と三人で飲みにきた。
結構酔ってるな、玲於さん笑
それからもう少し飲み続け、12時を回ったころ、店を出た。
玲於さんは一人でタクシーに乗せて、
慎は送ってやると、同じタクシーに乗り込んできた。
そんなときにスマホの着信音が聞こえた。
そう笑いながら私の髪をくしゃっとする慎。
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私は目的地のお店から少し離れたところで車を降りた
歩いていたら、段差でつまづいた。
絶対こけると思った。
でも、慎が私の手を取ってくれた。
そう笑う慎は、この夜の雰囲気にぴったりで、
色気もあった。
慎の手を握ると、不思議な気持ちになった。
小さく言った私の声は、ちゃんと慎に届いたみたいで、
彼はさらに小さな声で、
とだけ言い、うつむいて歩き出した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。