第6話

五日目
936
2025/02/24 01:53 更新
どうして昨日は“死にたくない”と思ったのだろうか
いつも…あんなにも“死にたい”って、思ってたのに
ガチャ
あれっ…?今日は誰もいない………
じゃあ……死ねる…の?
そう思ったのも束の間、すぐに扉が開く音が聞こえた
ボクは急いで振り向く
すると、そこには虚ろな目をしながら、ふらふらと歩く黄色の髪の毛の男子生徒がいた
そして、ボクのことなんて見向きもせずに横を通り過ぎ、フェンスの方に向かって歩いていく
そして靴も脱がずにそのまま………


























瑞希
瑞希
ねぇ、やめなよ













司
……お前は何のためにここに来た
瑞希
瑞希
初対面でいきなり『お前』はないでしょ〜!
瑞希
瑞希
てゆーか、キミこそ
こんなところで何してるの?
彼はボクの方を振り向いたかと思えば、すぐに前を向いた
そんな彼に、ボクは気になったことを問う
……が、彼は何も答えずにもう一度こちらを振り向き、ボクのことを睨んできた
司
…………名前はなんだ
瑞希
瑞希
ボク〜?暁山瑞希っ!よろしくねっ!
瑞希
瑞希
キミは〜?
司
……天馬司、『よろしく』するつもりはない
彼……司はかなりの無表情&睨み顔でボクと会話している
…無表情なのか睨んでるのかどっちかにしてほしいんだけど
まぁいいや、とりあえず、今日も自殺を止めなきゃ……
瑞希
瑞希
っ……あ、あれ…?
なんで…ボク、他人の自殺を止めてるんだっけ
親友でも、友達でも、仲間でも、家族でもない、他人を
確か……先を越されるのが癪だった…からだっけ…?
でも今は別に…癪に障ってなんていない
じゃあ…なんで『ねぇ、やめなよ』なんて言った?
そうやって考えているうちに、司はフェンスの方に向かって歩いている
っ…理由はわからないけど…とりあえず止めなきゃ…
瑞希
瑞希
ね、ねぇ司っ!
司
………なんだ
瑞希
瑞希
つ、司はさ……夢とかってないの…?
止めなきゃ!と思って咄嗟に出た言葉だった
なんで夢なんか今更聞いたのだろう
どうせ………もってたって叶わないのに
だが、司はボクの考えとは真逆な回答をした
司
夢…か………世界一のスターになること…だな
瑞希
瑞希
ス、スター?
司
あぁ、子供の頃に見た劇団のショーに憧れて
世界一のスターになることが夢になったんだ
そう話している司の目は幼い子供のようにキラキラと輝いていた
だが、次に司が自ら発した言葉でその目の輝きは消えた
司
……だったんだがな
司
ショー仲間には見捨てられ、『君はスターになんてなれない』と知り合いから言われて
司
もう…諦めたんだ
司は最後そう言うと、こちらを見ずにフェンスの方に向かっていった
諦めた……?
夢があるのに…?見捨てられたくらいで……
………ふざけんなよっ
瑞希
瑞希
ふざけんなッ!!
司
っ…!!
瑞希
瑞希
そんなことくらいでッ…!
瑞希
瑞希
ボクの先を越そうだなんてッ!!
司
………………
瑞希
瑞希
“仲間がいないから諦める”だなんてッ!!
瑞希
瑞希
本当の孤独を知らないくせにッ……!!
ボクが全力で司に言葉を投げかけると、司は飛び降りるのをやめてくれた
司
……お前、瑞希だっけな
司
ありがとな、瑞希のおかげで前を向けそうだ
瑞希
瑞希
……どういたしまして
瑞希
瑞希
世界一のスター……司ならなれるよ
司
っ…!!本当にありがとうッ!!
司はそう言うと、走ってここから消えた
急いで閉じたせいで、扉が開きっぱなしだ
……夢……かぁ……
そんなもの…とっくの等に捨てたよ
けれど……強いて言うなら………
瑞希
瑞希
仲間が…欲しかったな……
っ…!!今日はもういいや、帰ろう
そう思い、ボクは屋上の扉を完全に閉ざした

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