第10話

“__”へ導きます
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2025/02/24 02:39 更新
生暖かい風が、ボクの耳元を通り抜けていく
普段だったら、その生暖かさを嫌っていたが、今となってはそれもボクの“記念日”に相応しい演出と感じられる
暁色の地平線も、市街の影絵シルエットも、ゆっくりと流れる雲も、___全てボクの“記念日”の演出なんだと、ボクは思う
ボクを遮る者がいないか、辺りを見渡す
瑞希
瑞希
………今日こそは誰もいない
瑞希
瑞希
ボク一人独りだけッ………
ボクは、いつもみんな元自殺願望がいたフェンスの向こう側に立つ
落下地に誰もいないかを確認するため、ボクは下を覗き込む
そこには誰もおらず、使い古した焼却炉が小さくぽつんとあるだけだった
こんなところから落ちたら、きっと痛いだろう
__けど、それは一瞬のことだ
何もかも全てを失うが、一瞬の痛みしかない方
ここ世界で生き続けるが、ずっと痛み続ける方
一瞬の痛みか、ずっと続く痛みか
ボクはその“痛み”について、考え続けた
不意に、身体がグラっと向こう側へ傾く
幸い、少しだけの傾きだったので、落ちることはなかった
だが、ボクは今の傾きで思ってしまった、見えてしまった


“ボクがいない世界線を”

その世界は、毎日が賑やかで明るく、ここ屋上に来る人なんて一人もいない
つまり、ボクがいなくなったほうがいいのだ
瑞希
瑞希
…………誰にも邪魔されない
ボクは無意識に扉の方を向く
だが、その扉が開くことは無かった
瑞希
瑞希
……邪魔してはくれない


カーディガンは脱いで
大好きなリボンを解いて
誰も救えないボクは………ボクはッ………!!

絵名
絵名
ありがと、瑞希
寧々
寧々
ありがとうッ、瑞希
彰人
彰人
……ありがとな
杏
…ありがと、瑞希の言う通りだよね
司
ありがとな、瑞希のおかげで前を向けそうだ
冬弥
冬弥
…ありがとう……本当にありがとうッ……
類
__ありがとう、瑞希
落ちる直前、走馬灯のように思い出が駆け巡った、次の瞬間
















































          “今から飛びます”














  















ふらり、と身体が浮いて
足の下から、地面がなくなった






Ending1 『“__自殺”へ導きます』

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