じんたんが居なくなって、初めての夏を迎えた。
今は8月、もうそろそろお盆がやってくる。
俺は相変わらず動画投稿を続けている。
もちろん、スカイピースでだ。
皆にはしっかりと生放送で伝えた。
じんたんとの別れ、これからの事…
ファンの皆からは沢山のコメントが返ってきた。
皆がじんたんの事を愛していた。
皆がじんたんとの別れを惜しんでいた。
なぁ、じんたん
君はすげぇ幸せ者だよ。
俺は同じ体制で凝ってしまった肩をグルグルと回しながら立ち上がる。
太陽の光が反射して俺のピアスはキラッと輝く。
じんたんが強く握っていた俺へのプレゼント。
中身を確認するとピアスだった。
これをじんたんの形見として付けている。
お盆は明日からだ。
それまでに色々と準備しないといけない。
俺は眩しく光る太陽を見つめながら1粒の涙を流した。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
今俺がいるのはじんたんのお墓の前。
最近は忙しくて1ヶ月近く来れていなかったのだ。
花を取り替えながらじんたんに話しかける。
一通り掃除が終わって最後に線香とお供え物をあげてさよならをする。
零れそうになる涙を必死に抑えて笑顔を作る。
よし、大丈夫。笑えてる。
俺がその場を立ち去ろうとしたその時だった。
人の気配がしてじんたんの墓の方へ振り向く。
いや、誰もいない。
独り言のように呟いて今度こそ歩き出す。
確かに俺を呼び止める声が聞こえた。
俺は足を止め、もう1度振り返る。
すると、そこにいたのは…
あの日、用事で出かけた時のパーカーを着て、黒い伊達メガネをかけている…
じんたんが立っていた。
……To be continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。