…あれ…、僕……、
なんで…、福禄寿を置いて…逃げてるの……?
………なんで…福禄寿は……、
ドゴッ
僕は恵比寿の頭を殴った。
すると、恵比寿は前に倒れた。
すると、
後ろから毘沙門天が出てきた。
毘沙門天は、恵比寿の手を引いて行った。
僕は、後ろを振り向く。
刃が欠けた包丁を握りしめて、奴らのもとへ突っ込む。
グチャッ
奴らの体を刺す。
次も、その次も刺し殺す。
けど、
グシャッ
うまく刺さらずに仕留めきれなかった奴に首筋をかまれる。
その隙を狙ったかのように、奴らは僕に群がった。
腕の肉を食いちぎられ、片足は持ってかれた。
僕は逆に奴らの首筋を噛んでそのまま引きちぎった。
片足で後ろに飛び、何とか群れから脱出する。
包丁で奴らの体を裂いた。
怒りに体を任せて、次々と奴らを殺した。
許せなかった。
包丁を握り、突っ込んだ。
噛まれようがもう関係ない…。
痛いよ。痛いけど…、
福禄寿が受けた痛みと比べれば、小さいものだ!!
奴を刺した、
はずだった。
パキンッ
包丁の刃が完全に割れてしまった。
その瞬間、
体を掴まれた。
グチャッ
食われた。
体のあちこちを。
服に血がにじむ。
すると、奴らの一人が僕の腹に食いついた。
腹の皮膚や肉を食い破られ、臓物が無理やり外に出される。
その臓物を奴らは食いちぎった。
美味そうに…、僕を囲って…。
中身にまで手を出されてしまったら、もう痛いという感覚はない…。
抵抗をしようともしない…、
けど、自然と涙が流れてきた…。
自然と、悔しさを感じていた。
大量の血を吐く。
肺…片方持ってかれた?
あれは、僕の?
意識が朦朧とする。
逆に、なぜここまでの事をされているにもかかわらず生きていることを不思議に思う。
肺が血で埋め尽くされている。
息が…、できない……。
その時、
奴らは、僕から離れた。
死んだとでも思ったのだろう…。
この怪我ではもう動けない。
もしも奇跡が起きて生き残ったとしても、今まで通り過ごせないだろう。
片足はない。
内臓は外に出てて、
片方、肺を持っていかれた。
多分あと数秒で死ぬだろう。
目をつむる。
いや、というより瞬きか?
その一瞬で景色が変わった。
お前は、今年路尊だよな?
…ここはどこだ?
…神?
てことは…、お前が神なのか?
なんで、人間が神に…?恵比寿がお前の体にいることと関係しているのか?そもそも、なんで恵比寿はお前の体に_______
…すまない…。
まぁ、なんとなくは…、
……神の前にいるってことは…僕はもう死んだってことになるのか?
……そっか…。
……僕…、ちゃんと生きれたかな…?
福禄寿…、
僕…、次のループでは頑張るから…。
だから…また……っ
とっさに体を見る。
すると、体は元通りになっていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。