第5話

五話 義妹の思い
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2022/06/05 00:31
玲奈の方に手をかざす。
声が頭に流れ込んでくる。
(なまえ:名字)玲奈
あなたの名字玲奈
(あなた、死んでくれてよかった。あの人がいると、家の雰囲気悪くなる。
どうせ、なんの価値もない人間なんだから。)
心がズンッと重くなる。
まるで、大きな重りをのせられたみたいに。

わかってる。
私に価値なんかないし、暗いし。

いったい、何を期待してたんだろう。
兄さんが、私のことを、よく思っていたからって、玲奈まで、そうだって勘違いして。

『死んでくれてよかった』
なんて、思われてるのにね。
(なまえ:名字)玲央
あなたの名字玲央
なあ、玲奈
兄さんが、口を開く。
珍しく、真剣な表情。
どうしたんだろうか。
(なまえ:名字)玲央
あなたの名字玲央
玲奈ってさ、あなたがいなくなって、寂しい?
玲奈の、表情が少し変わる。
でも、また、笑みを浮かべて答える。
(なまえ:名字)玲奈
あなたの名字玲奈
うん、一応、お姉ちゃんだし、悲しいよ。
嘘ばっかり。
私のことなんて、嫌いなくせに。
でも、兄さんはそんなことに気づかない。

わらって、玲奈に言葉を返す。
(なまえ:名字)玲央
あなたの名字玲央
俺、あなたとなか良くできなくて後悔してるんだよ、
もし、これからも、あなたのこと、侮辱するやつがいたら、あなたのこと、全力で守る。
真剣な顔。
決意は固いみたいだ。
なんで、こんなに優しいんだろう。

こんな人が、近くにいて、守ってくれるんだったら、私のこと嫌ってる人がいても、死ななければよかったなあ。
ちょっと、そんなことが頭をよぎる。


まあ、私は死んだから、もう、しょうがないよね。
(なまえ:名字)(なまえ)
あなたの名字あなた
ありがと、兄さん。
どうせなら、どうせなら、死ぬんだから。
あの二人の心を読んでしまおう。

兄さんの言葉が、私の背中を優しくさすって、優しく背中を押してくれた気がした。

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