第6話

六話 親たちの思い
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2022/07/05 13:49
私がこころの内を知りたい人、それは親だ。

むかしから、私をほったらかしにしていた母親と、再婚してできた義父。

あの人達は、私のことを、邪険にしていた。

だから、絶対嫌っているはずだ。

だけど、何で自分がそんなふうに扱われていたのか、知りたい気もしてきた。



そう思いながら、家のドアを開ける。
この時間なら、二人はまだ家に居るはず。

リビングに向かうと、やはりいた。
二人でソファに座ってテレビを見ている。


楽しそうに。
私なんか、最初から居なかったみたい。


誰にも見えない涙が溢れてくる。
やっぱり、誰にも見えないからこそ、思いっきり泣ける。

(なまえ:名字)(なまえ)
あなたの名字あなた
よし
二人に近づく。
まずは、義父の方から。

義父は私のことどう思っているのだろう。
義父
義父
(正直、あなたがいなくなってよかった。
俺達の生活に邪魔だ。
でもなあ、身近な奴がいなくなると寂しいもんだな。)
予想はしてた。
私なんて、この人には大切にされてない。
消えた方が良い存在だ。
(なまえ:名字)(なまえ)
あなたの名字あなた
(でも、身近な人って扱ってくれたの、嬉しかったよ。)
そう思いながら、今度は母親の方に手をかざす。
母親
母親
(ああ、幸せ。
なんとか二人の連れ子ともよくやれてるし
この先も幸せに過ごせるといいなあ)
母親の、心の中に私は居なかった。
嫌われていたわけじゃない。
母親の心に、『あなたの名字あなた』はいなかったのだ。
(なまえ:名字)(なまえ)
あなたの名字あなた
(やっぱそうだよね)
そう思いながら、私は家を出た。
友達や、兄さんが味方してくれて、生き返りたいと、一瞬は思った。


でも、やっぱり、私が居ない方が良いという存在の方が多いんだ。


さあ、そろそろ本当に死ぬときかな。

そう思っていたとき、後ろから声が聞こえてきた。
_神林龍樹@かんばやしたつき_
神林龍樹かんばやしたつき
あなたの名字?
振り向くとやはり、神林龍樹くん。
私の最初で最後の初恋の相手が居た。
(なまえ:名字)(なまえ)
あなたの名字あなた
見えてるの?
恐る恐るそう聞く。
私は、誰にも見えないはずなのに。

何で神林くんはわかるんだろう。

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