あなた「ッはぁ、はぁ、さ、わむらくん……」
澤村「あぁ、ごめん大丈夫…?」
あなた「う、うん。」
みんなの元を離れた私たち
少し離れたところまで走り、人影のないところまで来たところで足を止めた
何とか呼吸を落ち着けて澤村くんに視線を向ける
同じ距離を走ったとは思えないくらい涼しい顔をしている澤村くん
さすがは男の子だなって感じ
あなた「大丈夫かな、勝手に離れちゃって…」
澤村「んー、大丈夫だろ」
ケロリとしている澤村くんに思わず笑みがこぼれる
あなた「なんか、さっきの澤村くん王子様みたいだった」
澤村「それはあなたがお姫様だからだと思うけどな…」
あなた「あぁ、ドレス着てるから……」
澤村「いや、ドレス着てなくても、いつもお姫様みたいだけど……」
あなた「え?」
至って当たり前のことだろうと言わんばかりの真顔でそういった後、ハッ、としたように口を抑える澤村くん
その顔は段々と赤く染っていく
耳なんて色を塗ったみたいに真っ赤だ。
澤村「……悪い、完全に無意識だ、」
あなた「……ふふ、無意識でそう言ってくれたってことは本音でしょ?」
澤村「……うん。」
あなた「じゃあありがとう。嬉しい」
澤村「うん、」
恥ずかしそうに顔を両手で抑えてそっぽを向く澤村くん
その様子がなんだか可愛くて、回り込んで顔を覗き込む
澤村「ちょ、やめなさい。…」
あなた「えー、だって可愛いんだもん」
澤村「嬉しくないけど……」
いつもはみんなのまとめ役でしっかりしたイメージが強い澤村くん
そんな彼のいつもとは違う姿に少しキュンとしたのは秘密
やめなさい、なんて言われてもついついいじめたくなって赤くなった澤村くんの顔を見つめる
澤村「あなたって、意外とSっ気強いよな、」
あなた「んー、そうかな?……でもじゃあ、Sな女の子は嫌いですか?」
澤村「はぁ、本当にそういうとこ敵わないなって思うよ……」
軽く笑いながらポンポンと頭を撫でてくれる澤村くん
私もこの澤村くんの包容力には敵いません。
あなた「でも、意外だな」
澤村「ん?」
あなた「なんか、澤村くんって私に対して照れてくれるんだ」
澤村「ん??」
意味がわからなかったのか、
少し首をひねらす澤村くんを横目に言葉を続ける
あなた「ほら、菅くんとかは私のこと好きってすごい言ってくれててわかりやすいけど、澤村くんは正直妹的な目で見てるのかと思ってたから……」
澤村「あぁ、」
インスタのコメントでも、LINEでも、いつも大好きって伝えてくれる菅くんに比べて澤村くんはどこか違っていて、勝手に妹的に見られているのかと思っていた
だけど今日のこの反応を見て、違うのかな、
そう思った
澤村「そっか、そう思われてたのか……」
澤村くんは自分の顎に手を添え、少し考え込んだあと、私の方へ向き直った
澤村「あなた」
あなた「は、はい。」
澤村くんの真っ直ぐすぎる視線に、思わず背筋が伸びる
澤村「俺は確かに菅みたいになんでも思ってること言う質ではないけど……あなたへの気持ちは多分、同じだと思う」
あなた「おな、じ、……」
澤村「うん。別にいい返事を望む訳では無いけど一応言っとくな。俺、あなたのこと好きだよ」
あなた「……そ、う、だったんだ…。ごめん、気が付かなくて」
澤村「いやいや、あれだけ色んな人から気持ち向けられてたらそうなるよ。まぁこれからも今まで通りよろしくな」
あなた「う、うん!」
力いっぱい返事をすると、満足そうに笑う澤村くん
澤村「じゃ、そろそろ戻るか」
あなた「うん。そうだね。」
そう言って歩き出した澤村くんについて行くように歩き出す
多分今、私の顔は、さっきの澤村くんよりも赤いと思う。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。