第16話

2-3 拒絶からの愛
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2024/01/28 15:18
御山京
……ふうん
 明らかに素っ気ない返事をしてきた。避けているのが丸見えだ。
大和憧吾
だから、前も言った様に教えてほしいんだ。京がどうやって当時VISTYを引っ張っていたか
御山京
……言って、何になるの?
大和憧吾
….!それは……
 ぐうの音も出なかった。
 別にこれを聞いたところで、何もならなかったり、実現不可能な者だったら意味がなくなる。それに、京のいた頃と今とではVISTYの置かれている状況が違う。
御山京
話終わりにしていいかな?
 京は俺が来る前に注文したであろうコーヒーのカップの蓋を指でなぞる。コーヒーに反射している自分の顔を見ている瞳は凛々しく、綺麗だな、としか言いようがなかった。
大和憧吾
……今日、なんでそんなに避けてるんだよ
御山京
避けてるって?
 顔の向きは変えず、その夕焼けを閉じ込めたような透明な瞳だけを俺の方に向けた。
大和憧吾
今日の京、明らかにわざとらしすぎる。前に会った時よりも素っ気ないと言うか
御山京
……
 当たったのか、京は顔をくしゃ、と歪ませた。
御山京
……前さ、憧吾にVISTYが好きじゃなかったって言ったじゃん
大和憧吾
うん
御山京
あれから、なんか変な感じがするんだよね….。胸がずっとざわざわしてて、変な音が鳴ってる….
 ……なるほど。京はきっと罪悪感でも抱いているのかもしれない。VISTYに対する本当の気持ちを暴露してから変な気持ちになっていたのだろう。
 誰にも言ってこなかった本心を打ち明けた事で妙な違和感でも持っていたのだろうか。
御山京
変だよね、こんなの。ごめん….
大和憧吾
なんで京が謝るの
 呆れ半分で呟いた。
 ……ここ、俺も本心を打ち明ける絶好のチャンスでは?
 テーブルに肘をつき、頬杖をついた。
大和憧吾
俺は、京に好きでもない俺なんかの相談を聞いてもらえるだけで嬉しいんだ
 京に向かって優しく微笑む。すると、京は目を少しだが見開いた。
御山京
憧吾って、そんな事言うんだね
大和憧吾
そんな事ってなんだよ……
 少し睨むと、京はふふっと綺麗な顔で笑った。
 先程までは堅苦しかった京が嘘みたいだ。まるで前の……VISTYの頃の京を見ているかの様に感じた。
 少しだけど、心を開いてくれたのかもしれない。

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