第2話

──目を覚ましたら、世界が敵だった
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2025/11/08 09:00 更新
眩しい光のあと、
俺は知らない天井を見上げていた。


身体が重い。

視界の端に、白い布。

どうやら医務室のようだ。
柚葉(ゆずは)
「……やっと目が覚めたんだね。」
その声に、胸が跳ねた。
振り向くと、そこにいたのは――柚葉。
包帯を巻いた手で、俺の腕を握っていた。

目の下には、泣き腫らした跡がある。
暁(あかつき)
「お前……無事だったのか。」
柚葉(ゆずは)
「うん。でも……暁のせいで、全部、壊れちゃった。」
静かな声。
けれどその言葉に、
俺の心臓がひび割れたような気がした。
柚葉(ゆずは)
「世界が、敵になったの。
 ――“神の命令”に逆らった者を、滅ぼせって。」
柚葉の目が、怯えていた。

俺が、彼女を守るために剣を振るった。

その結果、俺たちは“世界の反逆者”になったらしい。
暁(あかつき)
「……逃げよう。」
俺は、そう言って立ち上がる。

柚葉が目を見開く。
柚葉(ゆずは)
「逃げて、どうするの……? もう、行く場所なんて――」
暁(あかつき)
「行くさ。」
俺は彼女の手を取った。
暁(あかつき)
「神にだって支配されない場所へ。俺たちの世界を、作る。」
その瞬間、部屋の扉が吹き飛んだ。
金色の光が、床を焼く。
現れたのは――
翔真(しょうま)。

白い外套をまとい、神の印を胸に刻んだ少年。
かつての仲間、そして親友。
翔真(しょうま)
「暁。お前、本気で神に逆らう気か。」
暁(あかつき)
「……ああ。」
翔真の瞳が、淡く光った。
翔真(しょうま)
「なら、俺が止める。命に代えても。」
その声は、震えていた。
怒りでも憎しみでもない。
ただ、悲しみで。

柚葉が俺の背中に隠れる。
剣を構える翔真。
そして、俺も剣を抜いた。

――親友同士の刃が、初めて交わる。
暁(あかつき)
「……ごめんな、翔真。」
翔真(しょうま)
「お前が泣く未来だけは、俺が壊す。」
光と闇がぶつかり、世界が再び裂けた。
次回予告

追われる2人。
逃避行の中で見える“もう一つの真実”。
次回、第3話『逃げる理由、守る理由』

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