2人に、会いたくない。
でも、そんなこと言えないよ…
咲ちゃんは、ドアの向こうで蘭ちゃんにそう告げ、ドアを開けた。
私は俯いたまま、顔を咲ちゃんとは反対の方へ動かした。
咲ちゃんはそう言い、ベットに座っている私の横に座った。
そして、手を私の腰に回し、背中を優しく撫でてくれた。
咲ちゃんは、私の気持ちを次々と言葉に出していった。
その言葉を置いて、咲ちゃんは部屋を出て行った。
すると、入れ違いで蘭ちゃんが部屋に入って来た。
蘭ちゃんに、合わせる顔なんて…ないのにな。
悪いことはしてないのに、罪悪感が胸に残る。
罪悪感が残るんだろう。
蘭ちゃんは鈴に相談してくれなかったんだろう。
蘭ちゃんはGirls²を卒業するんだろう。
そんなこと考えるの?
そんなこと考えるの。
蘭ちゃんは、鈴のことなんて裏切ってない。
楽しませてくれた。
幸せにしてくれた。
色をつけてくれた。
輝かせてくれた。
もう…充分、いろんなことをしてくれたんだよ。
このこと、伝えなきゃ…!
蘭ちゃんの声は、震えていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。