なんとも悔しそうな顔......
大地さんのやり方に納得です。やはり、コレくらいやらなくては......大地さんに好感度が持てます。
何言ってるんでしょうか、この人。
男の人でも美しい人は美しいでしょうに......兄さんや、かの人気俳優の寮長様とか、私の幼馴染の双子とか。というか、私の通ってる魔法学校顔面偏差値バグが起こってるんですよ。私含めて顔が良すぎる。
でも、まぁ。美しいって言ってたので評価はしてあげましょう。どこの世界の人間でもちゃんと美しいものだけはしっかりと分かるものですね。
あの学園に入ることが出来る=私の顔が良いってのは自覚済みですので言われなくとも知っていますがね。
貴重...昔は2人くらい辞めてもどうにもならなかったのに。やはり一繋がいなくなって色々変わったらしい。
ここは権力者である大地さんに媚びを売るべき、ここに所属すると決めたのなら主将からの信頼は使えます
そして彼らを辞めさせるわけが無い。
数少ない1年生というのもあるが......
飛雄さんはあの目立つ髪の翔陽さんが見えなくなるくらい大地さん達が夢中になるほどのセッターの才能があるのでしょう。
翔陽さんは、私もこの目で確かめました。あの、運動神経と反射神経。
つまり、彼らは才能がある。
きっと全国へ行く切符へとなるでしょう。
全国への切符にするのなら、ちゃんと彼らにメリハリを付けさせる教育が必要になるようです。
──ドンッ
全国へ行く切符のためです。
多少キツイですが、あの状態で”才能があるから仕方ない”と部活に参加させる訳にはいきません。ちゃんとメリハリは付けて貰います。
利益のないのにやって上げる私からの”慈悲”です。
──バンバンっっ!!
このままでは煩く、部活にならないと判断したのか。せっかくの部員なので消えられては困るためお灸を据えようと思ったのか。
何を考えたのか分からないが大地さんが扉を開けた。
扉の先に広がっていたのは必死に部活への参加を大声で訴えかける飛雄さんと、飛雄さんに邪魔だと飛ばされたのか地面に転がった翔陽さんだった。
その光景を見て重なり、思い出したのは大きな絨毯と大きな音。そして、兄の言葉と同級生だった。
皆さんがそれぞれの反応をする。
この世界で言う冬休み中、急に寮に大きな音をたてて訪問して来て地面に転がっていた異世界人に喋る猫と意志を持った空飛ぶ絨毯のレプリカ、「あまりに小汚いので雑巾かと思いましたよ」と言葉を放った兄の顔
......嗚呼、懐かしい。
まぁ、簡単に言えば。
「これ以上騒いだら絞めるぞ♪」って意味ですね。
元893......ヴヴン...いえ、とあるカフェの手のかかるイソギンチャクの上司や情報収集係を勤めていた私を舐めないで頂きたい。
そこ、聞こえていますからね?
考支さん意外ととは何ですか??
龍之介さん私女じゃないですよ。説明しましたよね?
あと、大地さん貴方には言われたくないですよ。
これで大地さんからの印象は「か弱い女のような美しい顔の部活の新入りの良い1年生」という印象から、「自分の言いたいことはちゃんと言える強気な良い後輩」に変わったはず!!
そして。面白そうな彼らは部活が部員不足であり、部活に確実に入る!これで欲しかった条件は整った!
[あったらより良い条件部活リスト]
︎︎︎︎︎︎☑︎1.私への好感度が出来れば高いこと
︎︎︎︎︎︎☑︎2.退屈しない人達がいること
︎︎︎︎︎︎☑︎3.目立つことが出来るかもしれない人がいること
︎︎︎︎︎︎☑︎[バレーボールに入ることへの利点]
2周目で散々やったことがあり全国へ連れていったこともあるバレーボールで強い戦力になることが出来るという好条件!!
私の発言に驚いたものの大地さんはまだ許していないようで本音を飛雄さんに聞いた。
よしよし、畳み掛けましょう。メリハリを付けなくてはという圧を常にかけていきましょう。じゃないと翔陽さんと飛雄さんは絶対変わりません。
静寂が走る。大地さんの笑顔の圧が怖く思えてくる。
この黒い圧はまるでメガネが印象的なケーキ屋の息子
飛雄さんがついに観念したようですね。
表情を変えず「本音もそうです」と強く言い張るのが賢い解答。さぁ、なんて答えるのでしょうか。
.................でしょうね..、、言いそうだとは思いました。
そう言い残し大地さんは笑顔で扉を閉めた。
本当は今のバレー部の様子見だけでしたし......
入るつもりは本当になかったんですけど、全国に行くと”飛べない烏”と言わせないと言われてしまったのと!!好条件すぎたからです!!
私に任せてください!!前全国へ烏野を導いた者として本気で連れて行きましょう!!
高校で頑張ったことに「部活の先輩、仲間と全国行き私は〇〇なことが分かり仲間の大事さが〜〜」などと大学へ行く履歴書に書ける!
しかもバレーはチーム戦、バラバラなチームは弱い。つまり協調性のある社会人ということへの証明になるはず!!
こんなの将来的に良すぎる!!!
1年がまだ増えるんですね......
このように褒められた場合は素直に受け取らなくては謙遜は逆に失礼ですね。
この場合は......
こういうのは「先に入ってた先輩の方が〇〇の積み重ね方が違います✨️」みたいな感じの褒めを入れとけば良いでしょう。そもそも私の取れた回数以外そこまで細かく見てないでしょうし。
あとは龍之介さんのポジションのWSが言われて嬉しいこと言っとけばいいでしょ。
ちゃんと、「同級生のことが気になり気遣える良い子」のように印象もつけましょう。こういう、設定は細かくあればあるほど好印象を持たれやすい。
ナイスです!!龍之介さん!!
ちょっと食い気味すぎましたかね......?
なんというか......幼き赤き女王だった彼の様ですね。
自分の言う通りにすれば全て上手くいくと思って、自分の言うことを聞かない人が理解出来ずにいる独裁者や、暴君と言ったような形の実力主義ですか......
彼は「紅き支配者」......
飛雄さんは「コートの王様」......
と、翔陽さんと飛雄さんが同時に言った
懐かしい、懐かしい......!
2周目の大人の世界では思い出せなかった懐かしさです。どこかのシャンデリアやら、窓拭きやら、魔法の暴走やら、に巻き込んできた。あの、猫と黒髪以来ですよ。ホント。
嗚呼、嬉しいですね、、!嬉しいですよ!!!この世界で前の世界の何倍も生きてても、まだ...まだ、、この感じが思い出せるとは!
こ、ここは従順な後輩でいなくては...だけど、翔陽さんと飛雄さん側へ行きたいですね。評価は確実に下がるしダメなんですけど、、その、久しぶりにカオスを味わいたい......
翔陽さん達のせいでもう欲が出てきました。
欲張りなのも考えものですね......
うっ、羨ましい......
あっっ!!それはマズイっ!!!!!
飛雄さんは確実にセッターの才能がある、だからそのまま行った方が都合が良いと言うのに!!
翔陽さんに喋らせると面倒臭い......
私の言葉を無視し乗り切られた。
大地さんはそういうと体育館の扉を閉めた
──ギィー、バタン
扉の閉まる音だけが虚しく響いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。