第57話

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2025/04/06 03:00 更新
朝、玄関をくぐると、すぐに何人もの生徒が駆け寄ってきた。
 

「スンミン先輩、おめでとうございます!」

「次の生徒会、期待してます!」

「これからよろしくお願いします!」


 
正式に生徒会長に選ばれたばかりのスンミンは、次々にかけられる祝福の言葉に、
ただ淡々と「ありがとう」と返しながら、校舎へと歩いていく。

 
__特に喜びはなかった。

最初から対抗馬はいなかったし、結果は分かりきっていたことだ。

選挙で「勝った」という達成感もない。


だから、今こうして周囲が祝ってくれることも、どこか他人事のような気がしていた。


僕が生徒会長になるのは当然。

スンミン自身がそう思っていたし、周囲もそう思っている。


このポジションを得たからといって、何かが変わるわけじゃない。

むしろ、これからの責任が増えるだけだ。



__それでも。

 

ヒョンジン
ヒョンジン
スンミナ!




教室の扉を開けると、ヨンボクとヒョンジンが駆け寄ってきた。



ヨンボク
ヨンボク
おめでとう!




ヨンボクがニコッと笑い、ヒョンジンも「すごいね、生徒会長」と肩を軽く叩く。
 


スンミン
スンミン
ありがとう。




スンミンは自然とそう答えた。

彼らとは、普通に会話をする。



でも、特別「親しい」と思ったことはなかった。


スンミンには、特別仲のいい友達はいない。

作ろうとも思わなかった。


ミノみたいに自然と周りに人が集まるタイプでもないし、別に一人が寂しいわけじゃない。



周囲が勝手に「キム・スンミンはすごい」と一目置いた。


そしてスンミン自身も、自分の中のプライドが邪魔していた。

誰かと距離を縮めることが、なぜか怖かった。
 


でも__



ジソン
ジソン
スンミニ、おめでと。




袖を軽く引かれる感触に、思わず振り向いた。

そこにいたのは、ジソンだった。


彼はいつものように少しだけ恥ずかしそうに、それでもちゃんとこちらを見て、そう言った。



スンミン
スンミン
…ありがとう、ジソンイ。




スンミンは、ふと気づく。


この子は、いつの間にか自分の中に入り込んでいた。

無理に距離を縮めるわけでもなく、必要以上に踏み込むわけでもなく。


ただ、自然に隣にいる。



ミノがなぜ、すべてを捨ててまでこの子を守ろうとしたのか__

少しだけ、その理由が分かったような気がした。




 




授業が終わり、ざわざわとした教室の中で、生徒たちは次々と返されたテストを手にしている。


赤ペンでつけられた点数を見て喜ぶ者、
ため息をつく者、
全てを諦めたような顔をしている者。


そんな中、スンミンは淡々と答案用紙を受け取った。

100点。 

当然の結果だった。


スンミンは特に感情もなく、答案をカバンにしまおうとした__その時。
 


ジソン
ジソン
ねぇねぇ、スンミニ何点だった?




いきなり肩を叩かれ振り向くと、そこには満面の笑みを浮かべたジソンがいた。
 


ジソン
ジソン
わぁ、すごい!100点!
見えちゃった!




ジソンはまるで自分が取ったかのように感嘆の声を上げる。


だが、次の瞬間、自分の答案を手に持って、こう付け加えた。



ジソン
ジソン
これって俺、再試ってことだよね?やばい?



スンミンの目の前に突き出された紙には__



15点。

そして、その横には赤字で大きく書かれた「再試」のマーク。




スンミン
スンミン
やばいよ。




スンミンは至極真面目な顔で言い放つ。



スンミン
スンミン
ていうか、再試マークってこんな感じなんだ。初めて見た。
ジソン
ジソン
や、ちょっと!!




ジソンは軽くスンミンの肩を叩き、拗ねたように唇を尖らせる。
 


ジソン
ジソン
俺、ちゃんと頑張ったんだけどなぁ…
ほら、ここ計算合ってるでしょ?




ジソンが一生懸命言い訳するように答案を指差す。

スンミンはそれをじっと見て、冷静に指摘した。



スンミン
スンミン
ジソン、これは計算は合ってるけど、そもそも問題の数字が違う。
ジソン
ジソン
…。




ジソンは一瞬固まり、マジか…と天を仰いだ。



ジソン
ジソン
ね、教えてくれない?俺全然わかんない




ジソンは甘えるような笑顔を向ける。

スンミンは少しだけため息をついたが、すぐに微笑んだ。



スンミン
スンミン
いいよ。
ジソン
ジソン
ほんと!?やった!
スンミン
スンミン
部活なんてやってる場合じゃないね




スンミンがそう言うと、ジソンはえぇ~と情けない声を上げる。
 



__すると。





ヒョンジン
ヒョンジン
え、俺も!教えて、生徒会長様!




どこからともなく、ヒョンジンが割り込んできた。



スンミン
スンミン
まさかまた再試?
ヒョンジン
ヒョンジン
うん、でも俺は30点!




とヒョンジンは堂々と答える。



スンミン
スンミン
十分やばいじゃん。
しかも君はジソンイと違って学校に来てたよね?




スンミンは呆れたようにジソンとヒョンジンを交互に見た。



ヒョンジン
ヒョンジン
しゃーなし!
俺たち勉強苦手組だし!ね、ジソン?
ジソン
ジソン
うんうん、俺たち一緒に再試頑張ろう!




ジソンとヒョンジンが無駄に団結し、スンミンは思わず苦笑する。
 


スンミン
スンミン
…わかった。
放課後、図書室な。
ジソン
ジソン
はいっ!
スンミン先生、よろしくお願いします
スンミン
スンミン
先生って呼ばないで。




スンミンは疲れたように頭を押さえながら、これからの苦労を想像していた。


こんなんで本当に大丈夫か?




そんなスンミンの不安をよそに、ジソンとヒョンジンは一緒に頑張ろうぜ!と意気揚々としていた。

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