第68話

番外編 第8話
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2026/02/16 10:00 更新
慎太郎side
正直に言うと、
この店に入った瞬間から、だいたい察してた。
北斗
いらっしゃいませ
北斗の声。
いつもと同じ、落ち着いたトーン。
でもなー……長い付き合いだと分かるんだよ。
“気持ちが決まってる人の声”。
視線を動かすと、
窓際の席。
あなたの下の名前が、コーヒーを飲みながら外を見てる。
……はい、もう答え出てます。
慎太郎
今日も来てくれてるんですね
俺がそう言うと、
あなたの下の名前は少し驚いた顔をしてから笑った。
あなた
はい。落ち着くので
その言い方がさ、
“お気に入りの店”じゃなくて
“居場所”なんだよね。
カウンターの中に戻ると、
北斗が小声で言う。
北斗
……どう思います?
珍しい。
こんな聞き方。
慎太郎
どうもこうも
俺は肩をすくめた。
慎太郎
もう家族みたいな空気じゃないですか
北斗は何も言わない。
でも否定もしない。
あー、これは完全に自覚してるやつ。
慎太郎
言わないんですか?
北斗
……急がなくていいと思ってます
その答えが、
もう十分すぎるくらい真剣で。
慎太郎
じゃあさ
俺は少しだけ笑って言った。
慎太郎
失くす前に、ちゃんと守ってくださいね
北斗は一瞬だけ目を伏せて、
それから小さく頷いた。
北斗
はい
あなたの下の名前が帰るとき、
いつもよりほんの少しだけ、
北斗を見る時間が長かった。
北斗も同じ。
……ほら、やっぱり。
この2人、
大きな言葉はいらないんだよ。
同じ時間を重ねて、
同じ場所に戻ってきて、
気づいたら同じ音になってる。
慎太郎
第9話は決まりだな
心の中でそう呟きながら、
俺は空いたカップを片付けた。
静かだけど、
ちゃんと幸せになるやつ。
それが一番いい。

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