第37話

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2022/04/05 13:28 更新

メールを無視していると、今度は電話がかかってきた。


無視するわけにも行かず、通話ボタンを押す。




道枝駿佑
なに
長尾謙杜
『みっちー!家行ってもいい?』
道枝駿佑
だめ
長尾謙杜
『もー家の前に居るんやけど!!』
道枝駿佑
は!?

バタバタとベランダに出て下を見ると、まだ浴衣姿の長尾が俺の部屋に向かって全力で手を振っていた。


近所迷惑だからやめろ。




道枝駿佑
………今ロック解除するから、まってて



そう言って入り口のロックを解除した。



待てよ……………あなた先輩、どうしよう?













ーあなたー



風呂から上がると、そこには彼が用意してくれた着替えが綺麗に折りたたまれていた。


真っ白の長袖のシャツと………しかない。




道枝くん、下忘れてますけど。


後で借りよう。この長袖のやつ、でかいからギリ太ももまで隠れるし。



お姉さん居るらしいし、お姉さんのかな?これ。




前髪ををいつものように上げてポンパして風呂場を出る。






…………とその時。









道枝駿佑
待って先輩!!隠れて!!




小声で洗面所の扉の向こうから言われて、私は扉を開けようとした手を止めた。


彼は何か焦っているようだ。


道枝駿佑
長尾がもうすぐ来るから………あっ、ここ、…ここ、隠れてください
(なまえ)
あなた
ぅゎ………っ!


突然扉が開いて、手を引かれ、どこかの部屋のクローゼットに押し込められた。


クローゼットの中は真っ暗。隙間から見える部屋の光だけが頼りだ。



ここ…………道枝くんの部屋か。多分。



隙間から様子を伺っていると、『お邪魔しまーす!』という元気のいい二人の声が聞こえた。




…………二人?二人いるの?





道枝駿佑
え、恭平も居るの
高橋恭平
長尾に連れてこられてさー。まぁ明日暇やしええけど
道枝駿佑
人んちの事情考えていただいて
長尾謙杜
だってみっちー一週間くらい前に言ってなかった?来週ぼっちなんよねって
道枝駿佑
…………ゆってない
長尾謙杜
言ったわ!!あっ、ねー、風呂借りてもええ?
道枝駿佑
ええよ。着替えは?
長尾謙杜
みっちーの借りるー!!




足音が遠ざかり、道枝くんの呆れたようなため息が聞こえた。


高橋くんも謙杜くんもリビングの方に行ったのか、声が聞こえなくなる。



そして、私はさっきから光の見える方から目を離せない。


暗闇を見ると何かがいるような気がして怖くなるんだ。




早く……………早く、戻ってきて。







道枝駿佑
………先輩、ひとまず大丈夫そうです
(なまえ)
あなた
………なんで隠れるの?
道枝駿佑
へ……………
(なまえ)
あなた
私を見せたくないの?あの二人に。私迷惑なら帰るよ
道枝駿佑
そんなんやない!です…………


じゃあなんで困った顔してるの。


私今帰ったほうがいいよね。


(なまえ)
あなた
…………帰る。あの人たちいるから寂しくないでしょ
道枝駿佑
っそ、それは嫌!!あの二人は多分すぐ帰るから、……先輩、ここに居て


縋るような目に何も言えなくなった。


こんな怒られた子犬みたいな目されたら、従わざるを得ないじゃん。








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