綾視点
最悪だ…
みやにさえ会わせたくない人が来るのか…
私は諦めて男物の服に着替えに向かった
2人はそんな私を心配そうに見ている
はぁ...
みやには少しバレてたけどね?
遥奈には会わせたくなかったなぁ…
そんなことを考えていると玄関からノックオンがした
私は諦めて自分で玄関に向かう
ドアを開けると私の祖父母が立っていた
祖父は紺野博久
男尊女卑を今のご時世に唱えているいかれジジイだ
今女でも最低限の学力は必要なのにグチグチうるさく言ってくる
祖母は紺野多栄子
基本的にはこの人は頭がない
女は家を守るべきだってうるさいわりには私を男として育てるように命令した本人だ
基本的にはこの人とは話さないようにしている
感情論ばかりで話しにならないからだ
時間の無駄でしかない
そんな2人が来た…
それだけで時間の無駄だね
2人は私を突き飛ばしてズカズカと部屋の中に入っていった
偉そうに上座に座ったと思ったらみやと遥奈に睨んだ
そう言うと祖父は息巻いて杖でみやを叩こうとした
近くに居た遥奈がとっさに手を引いてくれたお陰で当たらずにはすんだ
よかった…
これでみやに怪我させてたら先方に会わせる顔ないよ…
肝を冷やしているとにっこりした笑顔で遥奈が一歩前に出た
私の祖父母だからか遥奈は丁寧に対応している
頭を下げると今度は祖母が吠え出した
我慢してたけど遥奈は怒ってしまって素直に言ってしまった
祖父母はそんなことを言われるなんて思ってなかったから目が点になっている
これはこれで見物だなw
何とか笑わないようにしないと
どこで揚げ足食らうか分からないからね?
まっすぐに祖父母を見ると復活したのか顔を真っ赤にして怒っていた
私がそう訪ねると祖父はイラついた顔で私に杖を振りかざした
そもそもすでに私の方が腕力があるから避けるつもりもなく目を睨むように見ていると祖父は杖を私にめがけて振り下ろした
そのままにしておくとバシッと誰かに当たる音がした
驚いて横を見ると遥奈が杖の先が私に当たる前に掴んでいた
遥奈の言葉を聞いて年甲斐もなく怒鳴り始めてしまった
あー…
本当にうるっさい
私は呆れながら聞くしかなかった
これが先代社長だと思うと部下達に申し訳なくなってくる
少なくとも今が酷くても先代がましならとか思うが先代から脳がないからなぁ…
先代が社長時代実質経営をして居たのは副社長だった
その人は結局代替りの時に首にされてしまっていたらしい
創設者が育てた人らしいからよく仕事が出来たらしいけど
私は会ったことがないから話しか知らない
呆れてしまい深いため息をついた
私はひたすら知らぬ存ぜぬを貫くしかなかった
いつかはバレるとは思ってたけどね?
後少しなんだよね…
ここでバレるとまた社員に苦痛を何年も強いなきゃいけない
それだけは避けないと…
ま、今回ばかりはその前に会社が潰れると思うけどね?
正直私としてはそれでもいいと思ってはいる
社員が居なければね?
そう言われて遥奈とみやは驚いた表情で私を見た
そう
2人の言う出来損ないと言う理由は一つ目は男では無かったこと
もうひとつは未熟児だったこと
運良く最低限の臓器はできていたためまだましな方だった
2人はそれが最大の原因としている
ま、もう一つが一番でかい理由なんだろうけど…
それでも他人から見ると特に当たり先がなくて駄々をこねている老人にしか見えないけどね?
黙って聞いていた遥奈が怒り出してしまった
多分限界だったのかな?
静かだなとは思っていたけどね?
私はとっさに遥奈の前に立ち2人から見えないようにした
そう言うと外から2人付きのスタッフがやっと来てくれた
2人はまだ文句が言いたそうだったが時間がないらしく宥められながらやっと部屋を出ていってくれた
わー……
どっと疲れた気がする
静まり返った部屋でふうとため息しか出てこなかった
ふと携帯を見ると長谷川と須藤さんが脱出したと連絡が来ていた
何なら不正の証拠まで持っているらしい
ただでは起きない2人だよね?w
すぐさま長谷川に林の居場所を伝えておく
後々大事にならないようにね
億劫に感じながらもなるべく淡々と後始末をしていく
みやには一度部屋に戻って残りの事は明日やろうと話をして部屋へ送り出した
私は少し落ち着こうとマグカップに牛乳を入れてレンジで少し温めると少しだけはちみつを入れて下座の椅子に腰かけた
あの人達が触れたものに触りたくなかった
気付くと遥奈が心配そうな顔で隣に座っている
話さないと、ダメなのかな?
私はふうと息を吐くと少しだけホットミルクを飲んで遥奈に声をかけた
いつもなら何か言ってくるのに遥奈はじっと私の事を見てきていた
それに反して私は遥奈の事が見る事が出来なかった
私は握りしめたままのマグカップを見つめて言葉を待つしか出来なかった
私は震えている手を隠すようにぎゅっとマグカップを握りしめた
そう言って励ましてくれた
私は少し息を吐いてなんとか遥奈の顔を見た
遥奈はそう言うとそっと手を重ねてくれた
その手の温もりが私の心を少しだけ強くしてくれるような気がした
私はマグカップをそっとテーブルに置いて遥奈の手を握った
そう言うと遥奈は私の事を心配そうに見つめてきた
何かを感じ取ってくれたのかな?
ま、過ぎたことなんだけどね?
生まれたばかりの話しは本当かどうかは知らない
長谷川が教えてくれたことだから、本当か嘘かは今の私にはどうでもよくて調べることさえしなかった
母親は少なくとも1人を死産した事で精神が一時期おかしくなっていたらしい
それだって今なら少しは親の気持ちも分かる
納得は出来ないけど理解しようとは思えるかな?
だから私と会える状態ではなかった
ただ少なくともその間があったから生き延びられる居るんだとは思っている
だから最低限の食事や生活は確保されていた
その頃は色んな会社でのレセプションに呼ばれることもあったから私は祖父母に連れられて行ってたっけ…
そう言うと遥奈はぎゅっと抱き締めてくれた
多分想像しちゃったのかな?
震えている
遥奈が顔を隠した肩は少し冷たくなり始めていた
私の変わりに泣いてくれてるんだ
それだけで辛かった日の私が救われる気がした
私は遥奈を抱き締め返していた












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。