第23話

22話
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2026/02/02 08:00 更新
綾視点





最悪だ…
みやにさえ会わせたくない人が来るのか…
私は諦めて男物の服に着替えに向かった
2人はそんな私を心配そうに見ている
はぁ...
みやには少しバレてたけどね?
遥奈には会わせたくなかったなぁ…
そんなことを考えていると玄関からノックオンがした
私は諦めて自分で玄関に向かう
ドアを開けると私の祖父母が立っていた
祖父は紺野博久
男尊女卑を今のご時世に唱えているいかれジジイだ
今女でも最低限の学力は必要なのにグチグチうるさく言ってくる
祖母は紺野多栄子
基本的にはこの人は頭がない
女は家を守るべきだってうるさいわりには私を男として育てるように命令した本人だ
基本的にはこの人とは話さないようにしている
感情論ばかりで話しにならないからだ
時間の無駄でしかない
そんな2人が来た…
それだけで時間の無駄だね
2人は私を突き飛ばしてズカズカと部屋の中に入っていった
偉そうに上座に座ったと思ったらみやと遥奈に睨んだ
紺野博久
何だ、ここは…茶の一つも出さないのか!
そう言うと祖父は息巻いて杖でみやを叩こうとした
近くに居た遥奈がとっさに手を引いてくれたお陰で当たらずにはすんだ
よかった…
これでみやに怪我させてたら先方に会わせる顔ないよ…
肝を冷やしているとにっこりした笑顔で遥奈が一歩前に出た
池田遥奈
大変申し訳ありません。ここは勉学をする場ですので茶器も、お湯を沸かすヤカンさえございません。その点ご理解頂けますと幸いです
私の祖父母だからか遥奈は丁寧に対応している
頭を下げると今度は祖母が吠え出した
紺野多栄子
そんなことにも気をつかえないのね?貴女、女としての嗜みを覚えられたらいかがかしらね?
池田遥奈
さようでございますか?人の部屋に許可なく我が物顔で入ってくる方に下げる頭も本来は無いのですが…仕方ないですね。では警察にお電話させていただきますね?w
紺野綾
…………ふっ!w 
我慢してたけど遥奈は怒ってしまって素直に言ってしまった
祖父母はそんなことを言われるなんて思ってなかったから目が点になっている
これはこれで見物だなw
池田遥奈
あやちゃん、それでいい?w
紺野綾
ひとまず話を聞かないとダメだよ?
何とか笑わないようにしないと
どこで揚げ足食らうか分からないからね?
まっすぐに祖父母を見ると復活したのか顔を真っ赤にして怒っていた
紺野綾
何のご用でしょうか?
私がそう訪ねると祖父はイラついた顔で私に杖を振りかざした
そもそもすでに私の方が腕力があるから避けるつもりもなく目を睨むように見ていると祖父は杖を私にめがけて振り下ろした
そのままにしておくとバシッと誰かに当たる音がした
驚いて横を見ると遥奈が杖の先が私に当たる前に掴んでいた
池田遥奈
お二人はあやちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんって聞きましたけど所構わず杖振り回して八つ当たりするしか脳がないんですか?
紺野綾
遥奈、大丈夫だから。怪我は?無い?
池田遥奈
よくない!頑張ってるのはあやちゃんなのに!絶対によくない!!
紺野博久
頑張ってるだ?こいつのどこが頑張ってるんだ!
遥奈の言葉を聞いて年甲斐もなく怒鳴り始めてしまった
あー…
本当にうるっさい
私は呆れながら聞くしかなかった
紺野博久
こいつはな今わが社を潰すつもりなんだぞ?!それの何が頑張ってるんだ!!
紺野多栄子
そうです!綾さん、父親を退職に追い込もうとは何事ですか?!
藤宮すずめ
では逆にお伺いします。綾さんが実際会社を潰すとして証拠はあるんですか?
紺野博久
証拠だと?!そんな生意気なことを考えるのなんかこいつくらいなもんだ!
これが先代社長だと思うと部下達に申し訳なくなってくる
少なくとも今が酷くても先代がましならとか思うが先代から脳がないからなぁ…
先代が社長時代実質経営をして居たのは副社長だった
その人は結局代替りの時に首にされてしまっていたらしい
創設者が育てた人らしいからよく仕事が出来たらしいけど
私は会ったことがないから話しか知らない
呆れてしまい深いため息をついた
紺野綾
残念ですが私ではありませんよ?
紺野多栄子
あら、では長谷川と須藤でやったと言うのかしら?
紺野綾
さあ?私はなにも関与してはおりませんので
私はひたすら知らぬ存ぜぬを貫くしかなかった
いつかはバレるとは思ってたけどね?
後少しなんだよね…
ここでバレるとまた社員に苦痛を何年も強いなきゃいけない
それだけは避けないと…
ま、今回ばかりはその前に会社が潰れると思うけどね?
正直私としてはそれでもいいと思ってはいる
社員が居なければね?
紺野多栄子
こざかしいわね。貴女は本当に生まれた時から目障りよね?ま、あの女が産んだんだからまともな子じゃないって分かってましたけどね?
紺野博久
あの母親だからな。いっそ死んでくれてもよかったんだがな
紺野多栄子
小さく生まれたとか知りませんけどね?無駄な入院費を取られていたわね?
そう言われて遥奈とみやは驚いた表情で私を見た
そう
2人の言う出来損ないと言う理由は一つ目は男では無かったこと
もうひとつは未熟児だったこと
運良く最低限の臓器はできていたためまだましな方だった
2人はそれが最大の原因としている
ま、もう一つが一番でかい理由なんだろうけど…
それでも他人から見ると特に当たり先がなくて駄々をこねている老人にしか見えないけどね?
池田遥奈
そうだとして立派に成長してるじゃないですか?今はあなた方よりも背も大きいですし、強いです。お二人は孫であるあやちゃんを罵って楽しいんですか?!
黙って聞いていた遥奈が怒り出してしまった
多分限界だったのかな?
静かだなとは思っていたけどね?
私はとっさに遥奈の前に立ち2人から見えないようにした
紺野綾
それで元々の用件は何でしょうか?父の失脚をやめさせろと言うことでしょうか?
紺野多栄子
当たり前です!あの子のために会社を残しているんです!
紺野博久
お前はこれ以上我が家の名前に泥を塗るな!一位も取れん出来損ないめ!!
そう言うと外から2人付きのスタッフがやっと来てくれた
2人はまだ文句が言いたそうだったが時間がないらしく宥められながらやっと部屋を出ていってくれた
わー……
どっと疲れた気がする
静まり返った部屋でふうとため息しか出てこなかった
ふと携帯を見ると長谷川と須藤さんが脱出したと連絡が来ていた
何なら不正の証拠まで持っているらしい
ただでは起きない2人だよね?w
すぐさま長谷川に林の居場所を伝えておく
後々大事にならないようにね
億劫に感じながらもなるべく淡々と後始末をしていく
みやには一度部屋に戻って残りの事は明日やろうと話をして部屋へ送り出した
私は少し落ち着こうとマグカップに牛乳を入れてレンジで少し温めると少しだけはちみつを入れて下座の椅子に腰かけた
あの人達が触れたものに触りたくなかった
気付くと遥奈が心配そうな顔で隣に座っている
話さないと、ダメなのかな?
私はふうと息を吐くと少しだけホットミルクを飲んで遥奈に声をかけた
紺野綾
なんか、ごめんね?気分悪くなるもの見せちゃったよね?
池田遥奈
…………
いつもなら何か言ってくるのに遥奈はじっと私の事を見てきていた
それに反して私は遥奈の事が見る事が出来なかった
紺野綾
祖父母はずっとああなんだ。母方の祖父母も生きてはいるらしいけど会ったことはないんだ
池田遥奈
…………あやちゃん
紺野綾
なに?
私は握りしめたままのマグカップを見つめて言葉を待つしか出来なかった
私は震えている手を隠すようにぎゅっとマグカップを握りしめた
池田遥奈
あやちゃんは間違ってないからね?あの人達が何て言っても私はあやちゃんの味方だし、その…友達だからね!
そう言って励ましてくれた
私は少し息を吐いてなんとか遥奈の顔を見た
紺野綾
遥奈、あのさ…
池田遥奈
なに?
紺野綾
少しだけ昔の話をしてもいい?
池田遥奈
うん、聞きたい
遥奈はそう言うとそっと手を重ねてくれた
その手の温もりが私の心を少しだけ強くしてくれるような気がした
私はマグカップをそっとテーブルに置いて遥奈の手を握った
紺野綾
私が生まれてすぐの話なんだけどね?
池田遥奈
えっと、確か未熟児だったって話し?
紺野綾
そう…私は元々二卵性の双子だったの。私ともう1人男の子が生まれたの。ただし、その子は生まれてすぐに亡くなってしまったの
そう言うと遥奈は私の事を心配そうに見つめてきた
何かを感じ取ってくれたのかな?
ま、過ぎたことなんだけどね?
紺野綾
双子だけでも祖父母は嫌っていてなぜ男の方を助けなかったって医者に詰め寄ってたらしい。その子の死因は生まれる時に私より先に生まれたんだけど肺が膨らまなかったんだって。それから私はそこから1ヶ月ちょっと入院してたらしい。母親が退院してからは祖父母どころか両親もお見舞いに来なかったみたい。私が退院した時も親族は誰も来なくて来たのはうちで提携していた施設が引き取って3歳くらいまではそこで生活をしてた。そこまで来るとさすがに周囲が疑い始めたの。なんせ私が生まれた時にかなりの額のお祝い金も貰ってたし、1人はちゃんと生きていることを話してたらしいからね。そこから祖父母と両親が居る敷地内で生活することになったの
池田遥奈
そうなんだ…
生まれたばかりの話しは本当かどうかは知らない
長谷川が教えてくれたことだから、本当か嘘かは今の私にはどうでもよくて調べることさえしなかった
母親は少なくとも1人を死産した事で精神が一時期おかしくなっていたらしい
それだって今なら少しは親の気持ちも分かる
納得は出来ないけど理解しようとは思えるかな?
だから私と会える状態ではなかった
ただ少なくともその間があったから生き延びられる居るんだとは思っている
紺野綾
結局祖父母は孫が生きていると言う証明が必要になったんだよね。わざわざ本邸に呼ばれて綺麗な服を着させられた。結局紹介では男として紹介されたんだ。祖父母は死んだ方は女の子だって言いふらしてたからそうするしか出来なかったんだよね。ま、それも周囲にはバレてたみたいだったけどね…そこからは別邸の離れに住むことになったんだけど…
池田遥奈
ご、ごめんね?あの本邸と別邸ってなに??
紺野綾
あー…本邸が一番大きな家で祖父母が住んでたの。それでうちの両親は少し小さい別邸で住んでそこの離れ…とはいっても冷暖房は完備してたしお風呂とトイレもあったな。イメージだけで言うと一階建ての風呂トイレ別2DKくらいの大きさだね。
池田遥奈
待って?そこに3歳から1人で住んでるの?
紺野綾
まぁ?w念の為にベビーシッターが居たけどね?w
だから最低限の食事や生活は確保されていた
その頃は色んな会社でのレセプションに呼ばれることもあったから私は祖父母に連れられて行ってたっけ…
紺野綾
とにかくその頃から私は男の子の服を着て男として生きることが決まったの。周りは気付いてたけど面倒ごとに巻き込まれたくないとか、何とか助けようとしてた人達も居たけどその頃は会社も大きかったから潰されたりしてたんだよね。そのまま時間が流れて小学校入学式前になって初めて両親と会ったの。とは言え会ったのだって長谷川との面通しに居ただけだから仕方なくな感じかな?そこからは何でか両親どっちかに呼ばれては息子として居ろって言われたり娘としてパートナーに会わされたりが頻繁に起き始めてた。母親のパートナーから殴られたり父親のパートナーからはご飯に虫を入れられたり、ホチキスの芯まぜられたり色々あったよ。だから外食でさえも食べなくなったの。でもその頃からは長谷川が無理してご飯作ってくれてたから何とか生き延びられたんだよねw
池田遥奈
あやちゃん...
紺野綾
だからさ、私も親に捨てられてるんだよ。名目上の両親が居るだけ。守っても助けてもくれない大人が側に居ただけ。本当にそれだけだったんだ。勉強だって暇潰しでしてただけ。
そう言うと遥奈はぎゅっと抱き締めてくれた
多分想像しちゃったのかな?
震えている
遥奈が顔を隠した肩は少し冷たくなり始めていた
私の変わりに泣いてくれてるんだ
それだけで辛かった日の私が救われる気がした
私は遥奈を抱き締め返していた

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