第5話

5話 白玉悠里の過去
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2021/03/26 13:06 更新
子供の時から、私は
何不自由ない暮らしを与えられた。
白玉 悠里
白玉 悠里
お母さんと、お父さんは?
「お嬢様、旦那様と奥様は
現在イギリスでお仕事をなさっています」
白玉 悠里
白玉 悠里
いつ帰ってくるの?
「お嬢様の5つの誕生日、それと
クリスマスに一回帰国なされます」
大きな屋敷に、ポツンと座り
蝉が鳴く夏も、雪が降る冬も
私は、ただただ広いだけの屋敷で
過ごして来た。
白玉 悠里
白玉 悠里
あの、白玉しらたま悠里ゆうりです!
小学校に上がると、同い年の友達が
たくさんできた。

正確には、そう思っていた。
「いつも、娘と遊んでくださり
ありがとうございます」

「こちら、少しばかりの気持ちです」
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・
私は、たまたま覗いてしまった
お父さん達のやりとりに、ひどく悲しみを
覚えた。
白玉 悠里
白玉 悠里
あかりちゃんも、空君も
渚ちゃんも、蓮君も、全部全部
私のために、お父さんが…
それからは、友達と顔を
合わせるのが怖くなり…

中学校に上がると、内気な性格へと
変わっていった。
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・
女子
女子
悠里ゆうりちゃんここに居た〜
女子
女子
次体育だよ?
一緒に行こう
白玉 悠里
白玉 悠里
うん…
私は、普通の生活がしたかった。

それでも、やはり物を与えられてきた
だけに、知らず知らずに世間に
鈍くなっていて、周りと違うことは

恐ろしいことだと気づくのが、少し
遅すぎた。
白玉 悠里
白玉 悠里
待って、みんな…
女子
女子
!!
男子
男子
!!
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・
上手くいかない学校生活。

みんなと友達になりたいだけなのに、
少しもミスは許されない。

私は、自分が憎い。私は、ばかだ。
頭がそう言ってるのに、ちゃんと行動
できない・・・

消えたい、消えたい、消えたい・・・
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・・・お母さん、お父さん
私、学校行くの辞める
「どうした?悠里」

「何か不満があるのかしら?」
白玉 悠里
白玉 悠里
違う!私がみんなと
違うから辞めたいの
「なら、ここの学校じゃなくて
別の学校に通おう」

「ちょうど、春からできる
新しい学園があるんだ」
白玉 悠里
白玉 悠里
うん、わかった。
「来なさい、悠里。あなたは、
私たちの仕事を継ぐのよ」

「他の子達と仲良くなんて
しなくていいわ」
白玉 悠里
白玉 悠里
はい、お母さん…
これでいい、私は最初から
何も望まないで、お母さんとお父さんの
言うことだけ聞けば良いんだ。

それが、正しいんだ。
高校も中学と同じ学園から
上がっただけの、所へ行った。
女子
女子
おはよう、白玉さん
白玉 悠里
白玉 悠里
おはよう、二条にじょうさん
男子
男子
おはよう
白玉 悠里
白玉 悠里
おはよう
つまらない生活。

でも、私だけ目立つことなんて
ここに入ったら、一度もなかった。

みんな、財閥やら御曹司で
溢れている学校だったから。
そんなある時、下校途中で
川の流れを眺めながら時間を潰していると

じゃれあいながら楽しそうに会話する
二人の男子学生が見えた。
早坂 光貴
早坂 光貴
おい、押すなって
京極 一冴
京極 一冴
押して、ねえよ
バーカ
早坂 光貴
早坂 光貴
バカ、落ちるって
京極 一冴
京極 一冴
クハハ、落ちて川に流れろよっ!
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・・
すごく楽しそう。
キラキラして光って見えた。
白玉 悠里
白玉 悠里
その時、私は
信じられないものを目にした
早坂 光貴
早坂 光貴
おい、歌うなって
京極 一冴
京極 一冴
〜♫
白玉 悠里
白玉 悠里
っ!
その男の子は、歌を
歌い出した。

しかも、どこでも聞いたことのないような
不思議な歌い方。

私は、一瞬で心を掴まれた。
何とも言えない、あのガサガサな声に
テンポも合ってないのに、あんなに
楽しそう・・・

いいな、私も、あんな人になりたい。
今思えば、あれが京極きょうごく君だったんだね。

私は、もう一度自分を変えたいと
思い、お父さんに言って

高校を変えてもらった。
その高校は、学園に居た頃とは
違い、賑やかで活気があふれる場所だった。
白玉 悠里
白玉 悠里
早坂 光貴
早坂 光貴
どこ行く?
京極 一冴
京極 一冴
トイレ
京極 一冴
京極 一冴
着いてくんなよ
早坂 光貴
早坂 光貴
行かねーよ
白玉 悠里
白玉 悠里
(あの時、歌ってた面白い人だ)
だけど、やっぱり私の人生は
何度やり直して学校を変え、

自分を見つめ直しても・・・
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・
私が掴もうとしたものは、全部
触れられず消えていってしまう。

今回も同じ・・・

ずっとそうなんだ。

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