あなたの下の名前 side
また , 居心地の悪い
この部屋に 戻ってきてしまった .
なんで のこのこ 着いてきたんだろう .
歩きだったから そのまま
手振りほどいて 逃げたら良かった .
この間に 逃げてしまおうか .
まるで 見透かされたかの様に
「 逃げるんじゃねぇよ 」 と
言われてしまった 私は
恐怖で 逃げる気力を 失った .
ましてや , あんなにも
真っ黒な目で 見据えられては .
万次郎さんは たい焼きの袋を
手に提げて 部屋を出て行った .
我慢していた 涙が溢れ出す .
とてつもなく怖くて仕方がない .
全部捨てて 逃げ出してしまいたい .
いっそのこと 死んでやろうか .
そんなことまで 考えてしまう .
会ったことのない 誰かが 廊下で
私の泣き声を聞いているとも
知らないままで .
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。