第3話

社会
13
2020/08/01 05:20
次は仕事だった
俺はある老人ホームで働いていた
上司は若いからと俺を平気でこき使っていた
失敗は全て俺のせい
事故法もヒヤリハット報告書も全て俺の名前だ。
勤務時間も朝5時から22時までと長かった
休みもなくたまる疲労との格闘
苦痛だった。
それを見て何も言わない先輩たち
これが社会なのかと毎日嘆いていた。

ある日の夜1人の利用者さんが窓から飛び降りた。
管理者が戸締りを忘れたせいで起こった事件
警察からの取り調べをうけ仕事に戻ろうとした時上司から呼び出された。
「なぜ戸締りをちゃんとしなかったの?」
は?え?
頭はハテナでいっぱいだった
こいつは何ほざいてんだ?
「死んだのはお前のせいだからな」
そう言われた瞬間俺の中の何かが弾けた。

その日の夜俺は津島線の踏切にいた。
ここは1日通して車も人もいない道だった。
街頭はない
周りも畑が広がるばかりだ
俺はひとつ向こうの踏切を聞いて線路の上に立った。
「この時間なら須ヶ口方面か...」
そう言うと手前の線路に体を置いた
徐々に大きくなるヘッドライトとタイヤの音
それは体の奥底から恐怖を煽った。
その恐怖は俺の体を意思とは関係なく線路の外へと引っ張り出した。
その後に残ったのは虚無感と果てしない恐怖
結局俺はそこから動くことが出来ず死ねなかったのだ...

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