第114話

祖母と孫娘
1,058
2023/10/25 12:21
(なまえ)
あなた
拓哉くんを助けて

月島夢子
……
恭平
恭平
え…あなたちゃん?

少しの沈黙の後、おばあちゃんはスマホを取りだした。

月島夢子
…月島です
月島夢子
お久しぶりです近藤先生
月島夢子
ええ。お願いしたい患者がいるの

(なまえ)
あなた

月島夢子
すでに塚原先生は呼んでいるわ
月島夢子
あなたも今すぐ○○総合病院に来て、
" 私の知人を助けてちょうだい "
月島夢子
お礼は私から十二分にさせていただきます



月島夢子
……これでいいわね?
(なまえ)
あなた
…うん、ありがとう
(なまえ)
あなた
" それともう一つ "


(なまえ)
あなた
" 月島の会社で働かせてほしいの "

月島夢子
!?
恭平
恭平
え??

(なまえ)
あなた
一生懸命勉強して、いい大学入るから…
(なまえ)
あなた
どんな仕事でもします

月島夢子
…フッ
月島夢子
あれだけ反発しておいて、
どういう心境の変化?笑

(なまえ)
あなた
…ある人に、
「お姫様気質だ」って言われたことがあるの

回想


桃々
桃々
ほんと、
お姫さま気質だよね…

(なまえ)
あなた
…本当にそうだった


いつも誰かに守られて…拓哉くんがこんな状態になっても、

……泣くことしかできない。

(なまえ)
あなた
大切な人を守るには力が必要だって気づいたの


シャラ…


(なまえ)
あなた
…これは拓哉くんがくれた私の一番大切なもの
(なまえ)
あなた
仕事を一人前にできるようになるまで
おばあちゃんに預ける

そう言ってカギのネックレスをおばあちゃんに渡した。

月島夢子

(なまえ)
あなた
私はこれから一生をかけて拓哉くんを守る


そばにいられなくたっていい。


(なまえ)
あなた
そのために月島を利用して、
(なまえ)
あなた
" おばあちゃんも敵わないくらいの力を手に入れる "







月島夢子
……たしかに
月島夢子
うちの男たちは詰めが甘いから、あなたがいれば頼もしいかもしれない

恭平
恭平
え……
恭平
恭平
困りますって!
あなたちゃんには将来、うちの会社で俺のために働いてもらう
恭平
恭平
そーゆー約束でしたっすよね!?
恭平
恭平
西村のケガで怖気づいたんすか?
月島の女王ともあろう人が__…

" 勘違いしないでちょうだい "

月島夢子
最初からあなたのためにあなたをあげる気なんてなかったわ
月島夢子
" あなたのために "
あなたがいればいいと思っただけよ

恭平
恭平

月島夢子
あなたを手に入れて月島を侵していく計画だったのでしょうけど、
月島夢子
ずいぶんと浅い考えじゃないかしら?

恭平
恭平
ッ、

月島夢子
" そんな方とは結婚させられないわね 睨 "

おばあちゃんはキッパリと言い放って、ギロリと先輩を睨んだ。

恭平
恭平
…わかりました、そう父に伝えますわ 笑(去る)






(なまえ)
あなた
…いいの?あんなこと言って…
月島夢子
構わないわ
(なまえ)
あなた
月島夢子
うちの仕事がしたいならそれでもいいけど、
月島夢子
無茶はせずあなたのやり方で力をつければいいのよ
(なまえ)
あなた
…そんな気づかいいらない
(なまえ)
あなた
私はどんなことをしてでも___…
(なまえ)
あなた
…おばあちゃん、?


おばあちゃんは背を向けたまま手で顔を覆っていた。

月島夢子
…ああもう、あなたの勝ちよ
月島夢子
私が降参すれば満足なんでしょう、?

(なまえ)
あなた
…え?

月島夢子
満足したなら…













" これ以上心配させないで!! "


心…配…?


月島夢子
あなたに言われなくたって、西村さんの治療には全力をつくすつもりだったのよ…!
月島夢子
あんな崖からあなたを…

月島夢子
" ……大切な孫をッ守ってくれたんですもの "


大切な…孫、?


月島夢子
あなたが家出してからずっと…
月島夢子
心配で……ッ
月島夢子
夜も眠れなかったわ……ッッ!!


この人は、私をちゃんと…


(なまえ)
あなた
…!!

「家族」だって…思ってくれてたの…?


(なまえ)
あなた
…おばあちゃん…っ 泣


この日、おばあちゃんは" 初めて私を抱きしめた。 "



恭平
恭平
…よかったやん、あなたちゃん 笑(隠れて見てた)

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