第72話

day.34.5
2,096
2023/10/16 11:00











- Geto side -











窓から差し込む光。


薬品の匂い。


鳥の囀り。


いつもと違う天井。








壁に掛かった時計を見れば7時前。


随分と寝ていたようだ。








脇腹に感じた重み。


ベッドに突っ伏して眠る愛しい人。


乱れた髪を掬う。













そうか…



来てくれたんだな…














久しぶりに触れることが出来た君。


只々嬉しくて、自然と口元が緩む。










髪を撫で続けていると、その違和感に気付くように勢いよく面が上がった。


そして、直ぐに私を見た。




あなた
傑…?

夏油 傑
夏油 傑
おはよう…





少し痩せた頬を包み込めば、途端にあなたの下瞼に涙溜まり出した。




あなた
傑っ…!





ベッド上の私に、覆い被さるように抱きつく。



あなた
ごめんっ…!
ごめんね!





私もその華奢な身体をそっと抱き締め返した。




夏油 傑
夏油 傑
やっと私のところに、
来てくれたね…





首元に顔を埋めて泣くあなた。


胸が締め付けられて痛くなる。



あなた
良かった…無事で…!
このまま、目覚さないんじゃないかって、凄く凄く怖かった…!





私を見ながら、溜まった感情を吐き出す。


涙でぐちゃぐちゃになったその顔。


鼻水も出てる。


思わず、笑ってしまった。






こんなにも一生懸命な君。


愛しく堪らない。






あなた
私、別れたくない…!
傑がいない人生なんて考えられない!

愛してる…誰よりも…っ…
傑だけっ…






君はいつも__


欲しい言葉を全てくれる。







指で涙を拭って、両頬を手で覆う。


顔を引き寄せて、そっと唇を重ねた。








それだけで、身体が自然と軽くなった。


悟の言う通り、ただの欠乏症なんだ。






夏油 傑
夏油 傑
私も愛しているよ。
世界で一人、君だけを__

離れないよ、放さない。
ずっと一緒って、約束しただろ?






コクコクと頭を縦に振り続ける。




あなた
恵とちゃんと話したよ…
恵も本当のこと教えてくれた…
身体の関係はないって、
あの時何も無かったって…





うん。


最初から、分かってたよ。






恵も__


小さい頃から見てきたし、そんな奴じゃない。






あなたも__


誘惑するような人間じゃない。








夏油 傑
夏油 傑
うん、分かってる。
この身体は私にしか反応しないからね…



そう言えば、簡単に頬を赤らめる。











夏油 傑
夏油 傑
こっち来て__





上半身を起こして、太ももあたりの掛け布団をポンポン叩く。




あなた
え…?


夏油 傑
夏油 傑
乗って?






少し考えて、躊躇するあなた。


何となく意図を感じ取ったのか、履いていた靴を脱いでベッドに上がる。


私の足を跨いで、膝立ちする。







私より高い位置にある顔。


いつもと視界が逆だ。


恥ずかしそうに私を見下ろしている。






臀部に手を回して引き寄せる。


首を上に伸ばして、あなたに口付けた。





あなた
んっ…





久しぶりの君を唇が求めて仕方がない。


貪るように舌を絡め合う。





夏油 傑
夏油 傑
ご褒美欲しいな…
あなた
っ…ん、



夏油 傑
夏油 傑
たくさん、出張行ったし…
それも泊まりのね…






銀糸を引いて唇が離れる。


上目遣いでお願いすれば、あなたが困ったように顔を真っ赤にした。




あなた
で、でも、
体調悪いし…
夏油 傑
夏油 傑
もう良くなったよ。
あなた
え!?
でも悟が間に合わないとか、
危ないとか…

夏油 傑
夏油 傑
あー、うん、
まー、あれは、
忘れて…
あなた
えぇ…?


夏油 傑
夏油 傑
とにかく…
今すぐ、あなたが欲しい…






射るようにあなたを見つめる。


あなたの瞳__


熱を持ってるのが分かる。







きっと、身体はもう私に反応してしまっている。


君は言葉だけで、濡れてしまうからね。





あなた
ここで…?
夏油 傑
夏油 傑
うん。
あなた
病室だよ…?
夏油 傑
夏油 傑
誰も来ないし…






気にしているようだから__


小型の呪霊を飛ばして、病室の鍵を掛けさせた。






それに__


皆もこうなる事を承知の上さ。





夏油 傑
夏油 傑
私としたくないの?





恵にもマウントを取ったが__


ここから先は、私だけが知るあなただ。







恥じらう表情も、


疼く表情も、


本当は抱いて欲しいのに誤魔化す表情も、









あなた
したい__





全部、全部__


私のものだ。













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