ライブの打ち合わせのときだった
みんな仕事が立て込んでいてピリピリしていて
メンバーとのぶつかり合いがよくあった
俺は本当だったらみんなをまとめなきゃいけないのに
直己とケンカして
そんなときにみんなを説得してくれたのが臣だったんだ
みんなが衝突するたびに解決してくてれた
あの日だって
NA「この曲はアップテンポだけど、イントロ
はバラードに近いから登場するときは、1
人ずつ出てきた方が良くない?」
直「俺は初めからステージに立ってて、イン
トロに合わせてライトつけて登場した方
がいいと思うんだけどなぁ」
剛「僕はNAOTOさんの案がいいと思います
よ」
隆「ボーカル的に言ったら直己さん派かな」
健「ボーカル的ってなんやねん。パフォーマ
ー的に言うたら、NAOTOさんが言うたよ
うに1人ずつ出てきた方がええやろ」
E「僕は直己さん派ですけどね。ファンの方
にも楽しんでもらえる登場した方がよく
ないすか?」
みんなイライラしながら、嫌味ったらしい言い方で話していて
会議室のムードは最悪だった
いつも周りのスタッフさんはつまらなさそうに爪をいじっていて、全部臣が仲裁しては、まとめて、という感じだった
俺はリーダーに向いてないのかな
ほら、今だってみんなを止めようと臣が立った
俺は何も出来てない、もう会議にも参加していない
ただ、このときを眺めているだけ
臣が間に割って入ったとき メンバーの誰かが言ったんだ
「ウザ」
臣『え?』
隆「ウザいんだよ。臣のそーゆートコ、イラ
イラする」
直「隆二落ち着けよ」
隆「臣は気をつかうよな。でもさ、ケンカ仲
裁すんじゃなくて、自分の意見持てよ。
ヒーロー気取りすんな。気持ち悪。」
きっと本心ではないだろう
こうやってメンバーからキツめの言葉を言われてたことも何度かあった
今日も臣がまとめてくれるだろう
そう思ってた でも今日は違った
突然 臣が折れるように倒れた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。