こーくside
早く………帰りたい
そう思って俺は飲めないお酒の入ったコップを握りしめる。
生憎一番信頼できる相方は飲めないくせに酔い潰れいるし、
実質俺は一人ぼっちだ。
なんで………
活動者の宴会だ、お前は友達が少ないんだから俺と一緒に来い、と言ってきたびびくんをとても恨む。
周りには知らない人だらけで、コミュ障の俺にとっては地獄の雰囲気が漂っている。
俺はお金を置いて店を出ようと準備をしていた、
落ち着いた低音ボイスで声をかけられ、俺はふと振り向く。
相手は名前だけ知っている。
確か………びびくんと仲良かった「アマルさん」だったかな?
だめだ、初対面の人とは中々スムーズに話せない。
アマルさんは陽キャなのか、コミュ力お化けなのかわからないけど、初対面の俺にたくさん話を振ってくれる。
そんなアマルさんに俺は「ありがとうございます」だとか、「そうですか」とかしか言えない。
動画で見ましたと付け加えて言うとアマルさんは笑った。
指差した方をみるとびびくんとぷりっつさんが机にぶっ潰してぐっすり寝ている。
俺が手に持つお酒を見てアマルさんが不思議そうに聞く。
やばい………ここはどうしよう?
無理にでもお酒を飲むか?
いや………激弱なんだよ、俺
俺はコップに入ったお酒を全部飲み干した。
慣れないお酒のせいでくらくらする。
心配してくれる声が、遠くに聞こえる。
やばい………と思った瞬間には意識は途切れていた。
ずきずきとした頭を抱えて目を覚ます
見渡せば知らない場所だ。
何だかとてもいい匂いがする。
エプロンをした料理姿のアマルさんが俺のを見てくすっと笑う。
おそらく朝食を作っているのだろう。
こんがらがっている頭を整理しようと、エプロン姿のアマルさんの名前を呟く。
その言葉で朦朧とした記憶が蘇る。
気まずさでつい、飲めないお酒を一気に飲んでしまったのだ………
とても迷惑をかけていたんだ。
俺が頭を下げるとアマルさんは笑っていいよいいよ、と言う。
その言葉に顔が赤くなるのを感じる。
俺は本当、お酒に弱い。
本人からしたらさりげなく言っているつもりだろう。
しかし端正な顔立ちで「可愛い」と言われると、同性でも不覚にもドキリ、としてしまう。
念の為、聞くとアマルさんはピタリと動きを止めた。
アマルside
宴会にいるこーくさんは明らかに浮いていた。
というのも、誰とも話していないのだ。
俺自身、こーくさんと面識がないし、びびの相棒、とだけ知っているくらいだ。
それでも一応、挨拶がてらこーくさんに話しかけてみた。
こーくさん、確かにコミュ障だ。
わかる、だから俺も必死で話題を振ったりするんだが、
「はい」とか「いいえ」とか、そんくらいしか返事してくれないもんだし
正直、俺も戸惑っていた。
そんでもって、俺がこーくさんにお酒の話をすると、こーくさん急にお酒を一気飲みした。
止めたのが遅かった
絶対、こーくさん、お酒弱い。
俺の勘は当たっていて、こーくさんはふらふらして俺にもたれかかってきた。
と、冷静に受け答えしつつ、俺はこーくさんのギャップに驚いていた。
だって………
何さっきのコミュ障
お酒飲んだらめっちゃ甘えん坊?
ここでびびの名前を出すのは、正直気持ちは良くない。
俺は財布を取り出してこーくさんの分のお金を宴会のテーブルに置いて店を出た。
外へ出た時もこーくさんは舌足らずな言葉で俺に寄りかかってくる。
内心、可愛いが炸裂しているが、自分を抑えて、こーくさんを家へ連れて帰る。
お持ち帰りをしたわけじゃない((
いや、したいけど!
流石に初対面の活動者に手を出すほど俺はクズじゃない。
酔ったこーくさんを置いていったら他の男どもにお持ち帰りされるに違いない。
せめて酔った可愛い姿を目に焼き付けて、まだ理性のある俺が家へ泊めようと思った。
こーくさんが眠る姿を見て呟いた言葉は俺だけの秘密。
あんまりないカプだけど、いいよね












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。