第56話

Vol.4
10
2019/09/12 11:35
「ククク、流石検事だ。見えるモノが違うみたいだ」
奴の言葉に思考が途切れた。しかし、此処は本当に何処なのだろう…。遠くに見えるのは花かしら?なら、何処かの山荘?
「松崎検事、先に言っておくが、クク、幾ら喚いても無駄だ。彰子、続きを聞かせてやるんだ」
再び彼女は私の耳に息を吹き掛けると舌先を這わせてきた。ゾクリと肌が感応する。
「あっ?うう…辞めなさい…」
「キャハ、かなり感度がイイのね」
そう言いながら汗ばむ私のショーツの中に華奢な指を這わしてきた。
「や、辞めて。松山、お願いだから辞めさせて」
そう言いながら私は股間を閉じるように脚を引き締めた。
「ねえ貴女、確か東條さんだったわね!?」
「キャハ、流石検事さん。記憶力、抜群なんだ。キャハ、参ったな~キャハハ」
国家機密機関が何を探っているのか私には判らない。只、松山慎悟、奴は決して機密機関員でないことは、どう言えばいいのだろう…、そうだ、匂いが違う。紛れもなく奴は犯罪者側の人間の危険な匂いを感じる。
「彰子わね、本当はどっちでもいいんだ。何故だか判る?検事さんみたいに正義がどうのとか、本当にどうでもいいんだ。彰子はバカだけど、慎ちゃんと一緒になって判ったんだ。正義なんて、国の体裁のいい罪隠しだってことを」
今更そんなことを聞いたからといって、この状況が変わることがないことは、奴の冷めた目が語っている。それに奴は、この光景を楽しんでいるようにさえ映る。それなのに何故なの、彼女の息遣いと柔らかな指遣いで恥毛を掻き分けながら蜜壺をまさぐることで、少なからずオンナとしての反応を微妙に感じている自分に、言葉に言い表せない儚さを感じていた。ううっ…。
「ククク、歪んだ顔がそそるじゃないか。処で検事さん、貴女は本当に正義なるものを信じているのか?」
「少なくとも松山慎悟、貴方よりわね」
彼女に抗うように私はキッパリと奴に言い放った。
確かに彼女が片瀬がいうShokoなら、女の私から見ても愛くるしく映る。それにしても彼女は猫のようにしなだれかかってはチロッと可愛い舌を私のうなじに這わせる。轟音が彼女のテンションを上げているのだろうかか?「あっ?」彼女の指が私のクリトリスを甘く撫でつけようとした。

🎵ANGEL Shoko&Sexy crime
☆君だけしか見えない
君だけしか見えないよ
この街が闇に溶け込んでしまっても
My Angel 君がいるから明日がある☆

押し寄せる人の戯れ言 信じることは出来ない
お決まりのコースなんて熱くはなれない 不安を投げ捨てて
鏡に映した自分の姿 OK. Ido not look good with sorrow
It is carnival today
Angel
It is happiness only by there being you

強がって答焦って 出し急ぐ何の為?
それぞれ想い重ね 誰かの支えを求めている 所構わず
疚しさ隠して計算ずくめ When I do not understand the tomorrow's thing
Therefore do you deceiveit?
moonright
Teach it. A waste of time

★定刻通りのTrainホームに滑り込む
日陰に埋もれるように押し込まれ 脱線あるかも知れない
気持ちは何処へ運ばれていくのだろう?
窓から見える景色は何を気づかせる?★

★~★ Repeat

☆~☆ Repeat
思い出してみろよ 悲しみツマラナサばかりあったのかを
現状を見つめ直せ 這い出しかけろよ!!自分から何もしない
そんなんじゃ見つかる筈がないパラダイス I do not make you only by mimicryhot
Today is carnival, too
Do not be frightened!!
You find an angel, too!
翻訳:さあ。悲しみなんて似合わない
今日もカーニバルさ
天使
君がいるだけでhappinessさ

明日のことなんて判らないと
だから誤魔化すのか?
moonright
教えてあげてくれ。時間の無駄を
何故?
人真似ばかりでは熱くなれないぜ
今日もカーニバル
怯えるな!!
お前も天使を見つけなさい!!

( Words:Wild Chan )

「ククッ」
奴の見下すような笑いが、私を気丈に立ち戻らした。「ふう~。東條さん言っておくわ。私にはそんな趣味がないの。だから辞めてくれない」
「キャハ。でも検事さん、少しは感じてるんでしょ?」
私の言葉に彼女はショーツから指を這い出すと、指先が陽光に輝いていた。その指先は自分の口に含み妖しく微笑んだ。

彼女は奴に歩み寄った。そして、今何もなかったように流れる曲に合わしながら口ずさんでいる。どういうつもりかしら…?漸く彼女からの恥辱から解放されるや、私は一息吐き出した。天井から洩れる陽光、奴の後方にある一室から僅かながらもソファーとテーブルが窺えられる。時折肌に触れる微風が心地良く感じる。奴は私に何を求めているのだろうか…?僅かに抱いた詮索心が現状を招いたのであるなら、奴は何を秘めているのかしら?国家機密機関と奴を結びつけるものが見つからない。そんな私の胸中を読み取ったかのように、奴の唇が静かに動いた。
「松崎検事、1つお訊ねするが、ククク、貴女が抱く正義をお聞かせ願おうか」
「いいわ聞かせてあげる。いい松山慎悟、社会秩序を守る為に私達の存在がある。社会に順応できない不良分子を排除することは、正義として当然じゃないかしら。間違っている?」
「確かにな。しかしククク、それは現状社会に於ける建前上の正義観念であって、実際はどうだろうか?政治家は陰で悪を尽くしながらも、のうのうとバッチを填めている。過去に於けるロッキード事件を省みれば判ると思うが、ククク、権力低下が政治戦略に嵌められ吊し上げられたに過ぎない。で結局誰が得をしたんだ?次いでに言えば、現在の警察内部はどうだろうか?最初は松崎検事、貴女が申すように純粋に正義観念を抱いていた筈だ。処がだ派閥に巻き込まれる中で仕込まれたモノは何であるのか、ククク、貴女には少なからずお気付きの点があると思われるが!?言い替えれば、正義が翻弄され悪に染まりゆく」
そこまで言うと新たな煙草に火を点けた。奴は果たしと私に何を求めているのだろうか?
紫煙をはきだしながら奴は静かに言葉を繋いだ。 「それに松崎検事、貴女自身はどうなんだ?正義をククク、主張する中で貴女は本当に罪を犯していないと言えるのかな」 
「ないわ!!今貴方が私にしているようなことは!!只言えることは松山慎悟、これって立派な犯罪じゃないかしら」
「ククク、アハハハ」
何がそんなに可笑しいの?まさか…
「ねえ聞かせて!!何がそんなに可笑しいのかを」
睨み据えた私に奴は静かに言葉を繋いだ。
「ククク。松崎検事、貴女の思考回路がさ。なら言うが楊達はどうなんだ?」
「………」
あの酷たらしい写真が目に浮かび上がった。そして憎々しげな増悪が私の躰を振るわせた。今私に映る奴は神さえ冒涜する悪魔そのものではないか。
「松山慎悟、やはり貴方が…」
記憶をまさぐる。「はっ…?」まさか河村を始め、平野刑事まで奴であるなら…。
「ククク、あれは俺が望んだことではない」
「どういうことなの?」
「いいか、国が違えば事情も組織色も違ってくるものだ。しかし、俺から言わせて貰えば、ククク、それは貴女が招かしたのじゃないかな。王は貴女に何を懇願したかを思い出してみればどうかな?」
「はっきり言って頂戴」
やはりあの時の公判に対する私への復讐。その思いを悟られたのか、否定された。凍てつくような寒々した奴の瞳が蒼く私を見据えた。
「やはり貴女は卓上の正義論を棚にあげただけなんだ。検事としての意地、それは別に構わない。只今一度言わして戴こう。王は貴女に何を懇願した?」
「………」
「何も言えまい。いいか松崎検事、貴方もこの俺も何等変わりはしないということさ。いいか松崎検事、ニーチェの言葉を借りるなら『怪物と闘う者はその過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。お前が長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくお前を見返すのだ(善悪の彼岸より)』とある。正義という言葉で自分そのものを誤魔化すのではない。自分が穢れもせずにクククク、何が穢れているのか判らないのと同じだ。自分を穢して始めて何が正義であるのかククク、気づくのでないだろうか」
奴は煙草を足元に落とし、踏み消した。


関西山神会本家・山岡豪志邸。
「うむ、成る程、再び京都なのか」

京都市芸大のJR京都駅近くへの移転を要望。
京都市立芸術大(京都市西京区)が進めるJR京都駅近くへの移転計画。
30年後の京都の姿は? 皇室の一部移転の「双京構想」やリニア京都駅ルート推進。
京都府の行政、経済、文化、大学などのトップで作る「京都の未来を考える懇話会」は31日、30年後の京都の姿を示す「京都ビジョン2040」の最終提言を発表した。「世界交流首都・京都」をスローガンに、皇室の一部を京都に移転する「双京構想」や、留学生を現在の7千人弱から5万人に増やす目標などを盛り込んだほか、中間案にはなかったリニア中央新幹線の「京都駅ルート」推進。

確かに彼が言うように、武力抗争の時代は終ったかもしれない。経済抗争――、確かだな。扠て、東はどのように動くかだな。それにしてもだ、何と振り込め詐欺が多いことか。
「おい!」
その言葉で会長秘書の岡本広が駆け寄ってきた。
「はい会長、如何がなされましたか」
「これを見るんだ。再び京都だ」
そう言うや山岡豪志は岡本にファックス用紙を手渡した。
「ごっつい話でんな。処で会長、何処からの情報でっか?」
会長宅にあるホットラインを知っているものは山岡豪志後継者である若頭を始めとする数名だけである。
「だからお前達はあかんのだ。何の為に若い者を抱えているんだ?頭と横浜に連絡をいれ、京都情勢と東の動きを探るように伝えるんだ。それと巷の振り込め詐欺にうちの者が関わっていないかもな!それにしてもだ、あの娘はいい男を掴まえたものだ。フフフ」
「何でっか?」
「何でもない。お前達も頭を見習うことだ。それと先達て7月23日の先代親分の法事にあたっての礼状は済ませているな」
「はい、本部長が終えています」
「うむ」
会話の終了を促す相づちを諭したように岡本は場を離れた。
それにしても暑いものだ。だか、この暑さも京都で涼めるか。

その頃―――。奴のパソコンに何やらの情報であろうか 
「ニュース速報」
という案内音声が流れた。聞き覚えがある。
「フフ、中川翔子とはイイ趣味ね」
私は屈辱の中で奴に嫌味を言い放った。その私の嫌味をいつものように含み笑うと、「中々のタイミングだ」と言いながら言葉を続けた。
「松崎検事、現実を貴女にお読み願おうか。クス」
奴は全てを楽しむかのように彼女に持たせたノートパソコンのパネルを私の読める高さに指示を与えた。 「あちゃ~。これはダメだわ」
彼女の言葉に私は息を飲み込んだ。何があったのだろうか…。
「えっ!?」

😀ニュース情報
国内有数の冬のリゾート地、苗場スキー場にほど近い新潟県湯沢町のリゾートマンションの一室に、サイバー犯罪の捜査を担当する警視庁サイバー犯罪対策課の捜査員らが家宅捜索に入った。

捜索容疑は、覚せい剤取締法違反。関東侠勇連合会系組員の30代の男が別荘として利用している部屋だった。

捜査関係者によると、同課は昨年、「インターネット上で、隠語を使って覚醒剤などの違法薬物が売買されている」との情報を入手して捜査を開始。密売人や顧客を逮捕し、彼らの供述などから、「黒幕」として組員の存在が浮上した。

ただ、このマンションにたどり着くまで、捜査は困難を極めた。同課は昨年秋、組員が経営する東京都練馬区内の服飾関連会社の事務所を捜索したが、もぬけの殻。

その後も拠点にしていたとみられる施設を捜索したが、再び空振りに終わっていた。

捜査員がマンションの部屋に踏み込んだとき、ターゲットである組員の姿があった。部屋を飛び出し、雪道の中を転げ回るように逃亡する組員を追いかける捜査員。大捕物の末に取り押さえ、覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕した。
組員が逃げ回った道には書類の束がばらまかれており、それを回収した捜査員らは驚愕の声を上げた。暴力団組員が本来持っているはずのない、暴力団捜査を担当する組対4課が捜査していた銃撃事件に関するものだったからだ。


躰がブルッと震えた。閉じていた目蓋を開き、私は哀願するように奴に恥ずかしさを堪えながら言った。
「ねえ、トイレに行かせて…」
「ダメだな、松崎検事。今言ったばかりではないか。ククク、自分を穢してみろと」
何て卑劣な男なんだろう。こんな男に私は…。チクショー。私は唇を噛み締めた。奴が私に何を望んでいるのか判らなくなってきた。奴の横では彼女が悪戯っぽく笑っている。人の苦痛を楽しんでいるならば、奴は単なるサディストではないか。このろくでなし野郎!!
「俺が少刑(少年刑務所)にいた頃だ」
また何を言い出すの。それよりお願い、用をたたせてよ。股間を恥ずかしげに閉じる私を見て何も感じないのだろうか、この男は?食わえていた煙草を口から離すと、緩やかに紫煙を吐き出し、ポロリと指先から落とした吸殻を足許に落とすや踏みつけた。
「ちょっと東條さん、お願い、貴女からも頼んで頂戴」
なのに彼女は、ニッと微笑むだけであった。どこかあどけなさが残る愛くるしい彼女が憎い程に小悪魔に感じた。
奴は言う。喧嘩をして腕を腹部と腰部に這わされ革手錠なる拘束具を3日填められ、陽光が閉ざされた保護房に放り込まれたことを。当然24時間だという。
「あれは法規に名を借りた暴力だ。メシを喰らう時は、ククク芋虫さ。だが食べれば糞が出るから食べない。ククク、思い出してもアレは人間扱いではない。社会から隔離された塀の中では犯罪者は弱者であり公然たる暴力が許される。本来貴女方が見るべきなんだ。処がどうだ、出所間近になれば猫なで声で上手をする」奴が言うには、特権に溺れた人間は自分を忘れ、クズ当然の如く誇示力に酔いしれ魂を歪めてしまうと。
「正義を飾す前に道徳を養うことではないかな?」
「判ったからお願い。我慢ができないの…」
足指を折り曲げ、漏れを踏ん張る。うう…もう駄目だ。限界が訪れているかのように躰が震え、尿道が今にも破裂しそう。
駄目駄目。駄目だから出ないで…。
「ククク」
既に私は奴の顔すら見返すことができない状態であることは、ショーツのデルタ部分が弧を描くように濡れ始めだしていたからだ。
もう駄目だ。じわりじわりショーツが濡れ広がる。
「嫌っ!見ないで!!嫌だ、このろくでなし!!バカヤロー!!」
そう叫ぶ中で尿が一気に放出しショーツから溢れるように大腿部から床下に流れ落ちていく。脱力した躰、虚脱感に陥る心、既に私は抵抗力を失せてしまった。
「キャハハハ、検事が漏らしちゃったぁ!!キャハハハ」
何という屈辱、虚ろげな眼差しに松山慎悟と東條彰子が蜃気楼のように揺らいでいた。この時点で私の最後の誇りさえも崩壊させられてしまったであろう…。懺悔…、私が犯した過ちは何であろうか…、過剰に満ちた正義観念?全てが偽りだったのだろうか…、この悪魔の前で私の精神が破壊し始めていく。
「クク、ククク。松崎検事、イイ匂いだ。牝猫そのものの匂いだ!!それがククク、お前の真の姿なんだ!!アハハハ」

崩壊~Blue Blue Blue~
本当は僕のこと大好きだったくせに
悪に組みしかれ いつの間にか魂を売り渡した
ラジオから流れる君の声
切ないね

先生はおかしいなぁ 途中で何故怒る?
そんなにこの僕が邪魔なのか高速隊 何を意味する攻撃を仕掛けている君の術にネット返し

☆街中が欲望に包まれ狂い始めている
愛はカネの嵩(かさ)で変わりゆく
神さえも捨てるBlue×3
いつの間にか寄り添う影は
醜き自分 早く気づきなよあるがままの自分を受け入れず
壊れていく
何も可も
世界さえも☆

いつの間にか自分が誰かになっている
悪の計略はざまれて魂を売り渡した
罪のない子供を巻き込むのは哀しいね

☆~☆ Repeat

( Words: Wild Chan )

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