第19話

19th DOOR.
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2025/12/09 18:00 更新

         ウナク's DOOR
ウナク
ヌナ……!


呼んでから、ハッとする。



あ、やば、つい呼んじゃった……。



そんなつもりはなかったのに、
思わずヌナを呼んでしまっていた。


僕の声に、ヌナもヒョンも、
周りにいた社員たちもが一斉に僕を見た。


そんなに大きな声じゃなかったはずなのに、
さっきまでざわついていた食堂が
少し静かになった気がして、頭が真っ白になる。


僕が何も言えずに固まってしまったそのとき、


ジェヒョン
ヌナ!こっちこっち!空いてますよー!


ジェヒョニヒョンが箸を持ったままヌナに手を振って、
ソンホヒョンに「おい、箸……」と注意される。


そんなジェヒョニヒョンの陽気な言葉で
食堂がまたざわめきを取り戻す。


ヌナもヒョンの言葉にニコッと笑って
僕たちの方へ向かって歩いてくるのが見えた。




そこで僕はようやくホッとして息をつけた。



だけど、助け舟をだしてくれたヒョンが
ありがたくもあり、向こう見ずな自分の
子供っぽい行動が際立つようで悔しくもあった。


何も考えずにヌナを呼んでしまった自分が恥ずかしくて
空になったお皿に視線を落としていると、
視界の左端に「カタン」とトレーが置かれた。


驚きと期待で一瞬、息が止まる。


そっと左の方を見上げると、思った通りヌナがいた。

あなた
ウナク、気づいてくれてありがと。
近い席が全部埋まってて、座る所なくて困ってたから、声かけてくれて助かったよ〜



そう言ってヌナはふふ、と笑った。

その言葉と優しい笑顔に心臓が締め付けられる。


めちゃくちゃカッコ悪かったのに、
そんな僕に「ありがと」と笑いかけてくれる
大人なヌナが余計に眩しくて、直視できなかった。



それからヌナは椅子を引いて、
めちゃくちゃ普通に僕の隣の席に座った。


あなた
あれ?ウナクはもう食べ終わったの?


僕の綺麗に完食し終わったお皿を見てヌナが言う。

ウナク
あ、はい。
すぐ食べ終わっちゃいました
あなた
そうだよね。
育ち盛りマンネには少ないよねぇ


ヌナはそう言って、
口をもぐもぐと動かしながら笑っている。
あなた
ウナクはメニュー、何選んだの?
ウナク
チキンです
あなた
あ、私と違うの頼んだんだね。
じゃあ私のプルコギも美味しいからちょっとあげる


そう言ってヌナが、自分が食べていたトレーを
ずいっと僕の方へと寄せた。

ウナク
え……?
あなた
ほら、プルコギ何切れかもっていっていいよ


ヌナはトレーの上のプルコギの乗ったお皿を
更に僕の方へと寄せる。

ウナク
いや、そんなのダメですよ。
ヌナの分が少なくなっちゃいます。


僕の言葉にヌナがあはは、と笑う。

あなた
私はもう成長しないし、こんなに食べられないから。
それに最近、お腹いっぱい食べると眠くなって寝ちゃうから食べすぎないようにしてるの


そう言って笑ったヌナを、
僕の向かいの席に座っていたテサニヒョンが
一瞬眉を寄せて、ちらっと見た。

あなた
だから残しちゃうくらいなら、食べ盛りウナクに食べて欲しいな


ヌナにそう言われて、僕は素直に箸を伸ばして……



途中で止まった。

ウナク
あ、え……っと、僕のお箸で……?
あなた
うん、いいよ?


ヌナは、なんてことないみたいに、あっさりと頷いた。


まるでそんなことを気にしているのは僕だけみたいに。



僕は下唇をギュッと噛んで、
「僕も何も気にしていない」みたいに装って
自分のお箸をヌナのお皿へと伸ばした。


そしてそっとプルコギを二切れ、自分のお皿に乗せた。


その間、緊張で息が止まっていた。



それなのに、

あなた
え?それだけ?もっととってよ


と不満気に言われて、僕は再び箸を伸ばした。


今度はさっきより大きめの肉と、
玉ねぎを自分のお皿へと移す。

あなた
そうそう、それくらい。


ヌナはそう言って、お皿とトレーを
自分の方へと引き寄せた。



それから、ヌナは箸でプルコギをつかんだ。



僕はついその箸先を横目でじっと追いかけてしまう。


そしてプルコギは、ヌナの口へ運ばれていって、
パクリと消えた。


その瞬間、心臓がどこかへ
飛んでいってしまうんじゃないかって思うくらい、
強くドクドクと暴れ始めたから
怖くなってヌナから目を逸らした。




だってそれは、僕がさっき、僕の箸をつけたプルコギ。




だけどヌナは何も気にせずパクパクと食べている。

あなた
食べないの?
ウナク
……たべ、ます


口を開けたら心臓が出てきてしまうんじゃないかと
思ったけれど、僕は恐る恐るそっと口を開けて、
プルコギを運んだ。




心臓は出てこなかった。




だけど、ビニールを噛んでいるみたいだった。




大好きなプルコギなのに、緊張して上手く噛めないし、
味もしなかった。

あなた
おいしい?
ウナク
……美味しいです
あなた
よかった〜


僕の嘘に、ヌナが満足そうに笑った。

あなた
ウナクが美味しそうにご飯食べてるのを見るだけで、私まで幸せな気持ちになるね〜


そんなヌナの何気ない言葉が、僕をモヤモヤさせる。


前までなら素直に喜んでいたその言葉が、
ヒョンたちのせいで、
もう素直には喜べない言葉になってしまった。


……やっぱり、ヌナにとって僕は、
餌付けが成功した犬みたいに可愛いだけ、なんだ。



僕は「可愛い子犬」なんかじゃなくて、
ヌナに「男」として見て欲しいのに──。




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ウナク編が途中ではありますが
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1話〜3話  ソンホ ー導入、衣装合わせー
4話〜6話  ウナク ー無防備なヌナー
7話〜9話  イハン ー謎の男とヌナの過去ー
10話    ジェヒョン ーmanners maketh manー
11話    テサン ーヌナと交わる視線ー
12話    リウ  ーヌナの魔法ー
13話    ヌナ  ーヌナの過去と今ー
14話〜16話 テサン ー僕だって男ですよ?ー
17話    ヌナ  ー可愛い弟ー
18話〜   ウナク ー僕しか知らないヌナー

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