kym side
10代だったあの頃から時は流れ
俺たちも大人になった
そう言えば6人でシェアハウスを始めてどのくらいだ?
年下4人も大学はとっくに卒業して
樹が開業したバーも今年5周年って言ってたな…
えぇっ!?ってことはもう10年くらい!?
時の流れは恐ろしいな…道理で皆アラサーになってるわけか…
俺は大学を卒業してからフリーの作詞家、作曲家として楽曲提供をしながら趣味として始めたカメラも続けていて
イタリアに1人旅に行ったりして自由に日々刺激を受けてる
個展なんかも実はやってて芸術家、作詞家、作曲家の三刀流
高地は学生時代から始めたYouTubeを続けていて
色んなジャンルの動画のシリーズがあるから
視聴者の層が幅広くて収益化出来るくらいに順調
YouTubeにも上がってるレザークラフトの作品も
リンク先から販売していてハンドメイド作家としても活躍してるよ
樹はさっきも言った通りバーを経営してる
要領の良いやつだったから大学在学中に必要な資格を取ったり準備を進めてたな
見た目も良いし口も上手いから小さいながらも繁盛してる
俺もたまに飲みに行ってるから安くしてくんないかな?
ジェシーは学生時代から洋服が好きだったことがきっかけで
高校生の頃から始めていたらしいモデルを本業にして世界で活躍してる一方でタレント、俳優としてもマルチに活躍してる
数年前に抜擢された雑誌の表紙で鍛えてからは筋トレにハマって
俺には響かないけど筋トレを皆に頑張って布教してる
慎太郎は最初教師を目指していたけど大好きなダイビングに行きた過ぎて
教えながら一緒に泳げるなら一石二鳥じゃん!ってことでダイビングのインストラクターをしてる
初めて会った時は元々ガタイは良かったけど爽やかな印象だったのがワイルドに進化して
高地に影響を受けて乗り始めたバイクで元気に通勤してるよ
あと北斗は、なんか分かんないけど就活が上手くいかなかったみたい
ことごとく面接で空回って自爆したっていうのが本人談
見かねてなのか最初は1人で経営しようと頑張ってた樹が「お前がもし良かったらなんだけど…店手伝ってくんね?」って声を掛けたら泣きながら感謝されたらしい
今では元々の真面目さで名前を言われただけで客のリクエストの酒は全て作れるバーテンダーになってる
日々の生活は充実してるけど
事件から10年以上の月日が経った今も高地の声はまだ失われたまま
声が聞けなくなって何年目だろう?いつからか高地本人から少し諦めみたいな空気を感じることがたまにある
それは楽しいことがあって、皆ではしゃいでテンションが上がった時とかに
急に当事者じゃなくて第三者みたいな顔して真顔で傍観してる瞬間があるんだ
長時間じゃなくて瞬間的なことだから他の4人が気付いてるかどうかは分からないし
4人に話して変な空気になることも嫌だから確認したこともないんだけどね
俺を含めた5人は諦めてないのに
なんなら5人中3人は生の声を1度も聞いたことがないから
日頃から高地が健康に過ごせるように
お菓子はダメ!もっと飯食え!これ美味しいよ!なんて言われてる
今年は6人が出会って10年目だし俺的には何かあるんじゃないか?ってちょっとだけ期待してる
まぁ、高地にはプレッシャー与えたくないから言葉にはしないけどね
慎太郎やジェシーあたりは出会って10年って聞いたら喜んでお祭り騒ぎが始まりそう
気付くのも時間の問題だと思うけど
もし、そうなったら楽しむことだけに全力出そ
今日も俺たちは平和だけどちょっとの奇跡を望むことは許して欲しい












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。