第14話

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2023/09/02 13:54




















「久しぶりだなドンヒョガ」






🐻「っ、なんでここに、」








幹部のヤツらに呼ばれたと思ったら部屋に入った瞬間息が詰まった。俺が世界一大嫌いで憎い奴が居たからだ。







「全く、刑務所なんぞ警備が甘いんだよ、出ようと思えば直ぐに出られる笑 それより何だこの組の様は」





🐻「今は俺が頭だ、お前には関係ないだろ」






「はっ笑 もう頭気取りか?お前なんぞにこの組の頭が務まるわけないだろ笑 」









煙草を口にくわえて不気味な笑顔を向けてくるあいつは俺の父親だ。父親と呼ぶには気持ちが悪すぎる。こいつと血が繋がってるなんて思いたくもなかった。






こいつなんかに俺の人生を左右されるなんてごめんだ。なんなら早く方をつけてこの組を出ていきたい。愛おしい人のためにこんな汚い世界から抜け出すんだ。








「言った通りにしてるんだろうな?上海マフィアとの取引はどうなった」






🐻『取引は廃止した。あいつらとは取引も何もかも切ったよ』






「どういうことだ!一体お前は今まで何を見てきたんだ!?それで頭を名乗ってんのか?ふざけるのも大概にしろ」





🐻「俺は絶対にお前の背中を追わない。」








額に青筋を立てたあいつは後ろにかけてあった刀を取ると俺の首に刃を立てた。






刃が皮膚にくい込み血が伝っていく。慌てて付いていた幹部があいつを取り押さえてくれたから良かったもののあのままだったら俺は殺されていたかもしれない。







こんな汚れた人間の元に居るとおかしくなりそうで部屋を出て邸を後にした。







向かうのはある人の所。俺が尊敬してやまない人。













🍑「やっほー!元気してる?」






🐻『相変わらず元気だなお前、こっちは大変だってのに』





🍑「それはお互い様だわ、てか首血出てるけどまたやったの?なんとなく話は聞いたから察しはついてるけど」





🐻「あいつが、署を抜け出して帰ってきやがったんだよ、」








俺が向かった先は実の兄貴の元だ。母が亡くなってから引き離された俺たちはこうした少ない時間を作ってでしか会うことが出来ない。







陽気な人だかマフィアとしての腕前はここらじゃ1番だろう。今じゃ奥さんの組を支えているイケメン若頭としても有名な話だ。










🍑「相変わらずだよなあいつも。とりあえず怪我の手当してから話聞くからちょっと待ってろ」








''ドヨンア~!救急箱持ってきて~''








🐰「はいはい、あれ?ドンヒョクくん!お久しぶりだね、ってどうしたのその首!?」








襖の奥から出てきたのは兄貴の奥さんのドヨンさん。可愛い見た目の割に武道を習っていたせいなのか、でかい人間でも投げ飛ばせるほどの力を持っている。








🍑「こいつ親父に楯突いてやられてんの、ちょっと手当してくんない?」






🐰「全く…あの人怒らせたらどうなるか分かってるでしょ?自分を大事にしなさい」







母親みたいにブツブツ言いながら手当をしてくれるドヨンさんは俺にとっては兄貴と言うよりも姐さんみたいな存在だ。








🐰「はい、出来た。傷口開いちゃうから安静にしとくんだよ?」





🐻「ドヨンさんありがとうございます、」





🍑「ありがとうドヨンア。チュ」





🐰「んっ、ちょ、ちょっと、!// ドンヒョク君居るのに、、」





🐻「目の前でイチャイチャしないでもらえます?←」








ただでさえロンジュンにはしばらく会えないんだ。こんなの目の前で見せられちゃ溜まったもんじゃないよ。









🍑「ごめんごめん笑 可愛くてつい。んで、ドンヒョガはなんの用で来たんだ?」





🐻「例の件なんだけど、あいつ上海マフィアと繋がってんだ。臓器売買にまで手出しやがって、なんの罪のない人をとっ捕まえては殺して臓器を多額の金で売ってるんだよ、何とかして上海マフィアとは切ったんだけど、、あいつが帰ってきたからどうなるか、、、」





🍑「んー、なるほどね。ドンヒョガ、いっその事さ、、殺しちゃえば?」





🐻「っ!?、そんなこと、」





🍑「そうでもしないとお前あいつに殺されるぞ?それでもいいのか?、」





🐻「でもっ、」





🍑「ったく、しょーがねぇな……。俺がやる。5000万な。」









あいつを殺すということは自分の命を危険に晒すも当然だ。あいつのマフィアとしての腕を舐めてはいけない。それは息子である俺達には痛いほどわかっている事だった。






ヒョンには大事な奥さんがいる。守らなきゃいけない物が沢山ある。そんなヒョンを危険に晒していいのだろうか。







🍑「お前は優しすぎるんだよ昔から。人を殺すことが嫌いで痛めつけるのも嫌いで、マフィアの息子としては珍しい性格だったしな笑 でも、大切な誰かを守るための護衛だって考えろ。何も怖いことは無いだろ?」






🐻「でも、それじゃヒョンは、っ、あいつの凄さは俺たちが1番理解しているじゃないかっ、ヒョンの身に何かあったら俺、、っ、」






🍑「凄いのはあいつだけじゃないんだぜ?俺を見ろドンヒョガ。信じて待ってろ。すぐ終わらせて帰ってやっから」







そう言って力強く頭に手を置いたヒョンは今までで1番頼もしくかっこよかった。







🐻「っ、ドヨンイヒョン、、」






🐰「大丈夫。俺はジェヒョナを信じてるから。俺の旦那さん凄いんだよ?だから笑ってドンヒョクくんニコ」







俺はいつも人に頼ってばっかりだ。ひとりの人間としてはあまりにも未熟でヒョンの背中を見つめているだけでちっとも成長もなにも出来ない。そんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。そう思った時俺はヒョンに思いがけないことを口にしていた。









🐻「ヒョン、俺も一緒に行く。行かせて下さい」







🍑「っ、お前わかってんのか?死ぬかもしれないんだぞ、?」






🐻「こんな弱いままじゃ、大切な人も守れないよ。だから行く」






🍑「、、わかった、」






🐰「ドンヒョク君…」










俺は変わる。ヒョンより強くなって、自分の組も変えるんだ。そして愛する人を守るために。






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