アラームが鳴り,仕方なく起きる。
そして仕方なく、リビングに向かう。
いつも、こんな会話ばっかり。お母様が意味のわからないこと言って、それをお父様が止める。そればっかり。
『可愛い“娘なんだから”』その言葉は何回も聞いてきた。俺は男だって何回も何回も伝えた。でも………
過去

ずっといえなかった胸の奥の痛みを告げた。
ずっと怖くていえなかったことを言えた。
それはそう、あの時だった。
あいつが___藍貴が、僕を好きって言ってくれた時だった
何もできない僕を好きでいてくれたことを知った時だった。
でも__________________________
いたい。胸が痛い。苦しい。
僕はお父様に全てを話した。
弟たちが帰ってきた。
温かい。なんかいいな。こういうの
楽しそうに話してる。僕もいつかこんなふうに笑えるのかな。
その手紙を恐る恐る開く。
手紙の内容。
莉梨花へ。
僕は今日、きっと君に話しかけたと思う。
それは、偶然じゃなくてずっと狙ってたんだ。
でも話せなくて、それでやっと話掛けられて嬉しかった。
莉梨花は迷惑だったと思う。でも僕の相手をしてくれて嬉しい。
ありがとう。僕は何が、あって悩んでるのかわからないけど、きっと辛いんだよね。それだけはわかる。でも僕思うんだ。君がどんなに悩んでも、どんなに理想を押し付けられても自分のままいていいって。そのままの自分を好きでいてくれる人がここにいる。だから、そのままいて欲しい。直接伝えようと思ったけど恥ずかしいし、きっと顔見るだけで話せなくなっちゃうからごめんね。
好きです。
あいたかより。

その日からずっとお父様は俺のことを気にかけてる。
お母様とも仲は戻ったけど、それでもモヤモヤは消えない。でもそんなこと高校生になった今じゃ,どうでもいい。
まだ涼しい朝の空気の中、莉梨花は制服の袖口を整えながら玄関に立った。
思わず靴を履く手が止まる。
母の声は穏やかで、けれど少しからかうような響きが混ざっていた。
ずっと怖かった。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。