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第18話

救われない“僕は”
19
2025/08/10 04:26 更新
アラームが鳴り,仕方なく起きる。
(なまえ)
あなた
はぁ………ねみ。
そして仕方なく、リビングに向かう。
お父様
おい母さん、焦げるぞ。
莉梨花の母
あら、ごめんなさいね。
(なまえ)
あなた
はぁ………おはようございます。
お父様
おーおきたかおはよう莉梨花。
お父様
ほら莉梨花起きてきたぞ
莉梨花の母
あら莉梨花、起きたのね
(なまえ)
あなた
はい。おはようございます。
莉梨花の母
座っててね。
(なまえ)
あなた
はい。ありがとうございます。
莉梨花の母
お父様?
お父様
ん?
莉梨花の母
莉梨花の文化祭行く?
お父様
は?
お父様
行ってどうする?莉梨花に迷惑だろ。
莉梨花の母
でも………
莉梨花の母
初めての文化祭よね?
お父様
小学生じゃねーんだから。それに莉梨花だって友達と楽しみたいだろ。
いつも、こんな会話ばっかり。お母様が意味のわからないこと言って、それをお父様が止める。そればっかり。
お父様
なあ?莉梨花。
(なまえ)
あなた
え、えっと………そ,そうですね…友達と一緒に行く予定で…
莉梨花の母
そう?でも、メイドさんでしょう?みてみたいもの、こんな可愛い“娘なんだから”
(なまえ)
あなた
っ………
お父様
っ…母さん、その話はやめろ。
莉梨花の母
え?なんで?
お父様
莉梨花が困ってるだろ…
(なまえ)
あなた
あ,いえ全然大丈夫です!
莉梨花の母
こんな綺麗なお顔して、メイドさんなんて…想像しただけで…
『可愛い“娘なんだから”』その言葉は何回も聞いてきた。俺は男だって何回も何回も伝えた。でも………
過去
(なまえ)
あなた
あ,お母様、ぼ,僕ね___
莉梨花の母
僕?可愛い娘なんだから“私”って言わないと変なやつだ〜言われちゃうわだから女の子でいないと…ダメ。
(なまえ)
あなた
っ…
(なまえ)
あなた
僕はっ…僕でいたいんです…ずっと…僕は僕のままでいさせて欲しいんですっ!それ以外は何もいらない。何を言われたっていいんです。ただ、僕のまま、ありのままの僕でいさせてくださいっ!ただそれだけなんですっ!
ずっといえなかった胸の奥の痛みを告げた。
ずっと怖くていえなかったことを言えた。
それはそう、あの時だった。

あいつが___藍貴が、僕を好きって言ってくれた時だった
何もできない僕を好きでいてくれたことを知った時だった。
でも__________________________
莉梨花の母
なんでそんなことを言うのかしら?
(なまえ)
あなた
え、え?
莉梨花の母
別にお母さん否定してるわけじゃないわ
(なまえ)
あなた
で、でもっ
莉梨花の母
制服も、髪も、言い方も、“男みたい”ね。こんな綺麗な瞳をしているのに。莉梨花がわがまま言うせいで、いじめに遭うんでしょう?
(なまえ)
あなた
えっ………え、え?
(なまえ)
あなた
わかってます!わがままだって…よくないことなんだってことぐらいわかってますっ!
(なまえ)
あなた
でもそれでも、辛いんですっ…“女”としているのが辛いんです…自分はもっとかっこよくなりたい。自分はもっと…かっこいい人になりたいっ!その気持ちには素直になりたいんですっ…確かに、女の子でいる方が馴染みやすいし、生きやすいかもしれないですっ!でもそれでもっ!僕は、僕なんですっ!人生を決めるのは僕なんですっ………!
莉梨花の母
はぁ…わかってくれないみたいね。お互い頭を冷やしましょう。
(なまえ)
あなた
っ………
いたい。胸が痛い。苦しい。
(なまえ)
あなた
ごめん…なさいっ…
お父様
り、莉梨花どうしたんだ!?
(なまえ)
あなた
っ…………おとう…様?
(なまえ)
あなた
“私は”っ…
僕はお父様に全てを話した。
お父様
はぁ…妻がごめんな…
(なまえ)
あなた
い、いや……っ僕が悪いんです_______
弟たちが帰ってきた。
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
ただいまお父様。
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
ただいま〜って莉梨花〜いるじゃん
(なまえ)
あなた
え?
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
紗由理いまお話中じゃん…
お父様
いや大丈夫だ
お父様
莉梨花に用か?
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
あ、いやその…
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
おっ届け物〜
お父様
届け物?
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
はい,兄さんの友達…?から
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
名前聞いたんだけど…教えてくれなかったんだよね〜
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
お前が急に名乗るからだろ
お父様
はははっフレンドリーってやつか?
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
はいそうかもしれません♪
温かい。なんかいいな。こういうの
楽しそうに話してる。僕もいつかこんなふうに笑えるのかな。
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
はいこれ。ラブレターみたいだね。もーお兄ちゃんモテるなぁ
(なまえ)
あなた
そんなこと…ないと思うけど
その手紙を恐る恐る開く。


手紙の内容。
莉梨花へ。

僕は今日、きっと君に話しかけたと思う。
それは、偶然じゃなくてずっと狙ってたんだ。
でも話せなくて、それでやっと話掛けられて嬉しかった。
莉梨花は迷惑だったと思う。でも僕の相手をしてくれて嬉しい。
ありがとう。僕は何が、あって悩んでるのかわからないけど、きっと辛いんだよね。それだけはわかる。でも僕思うんだ。君がどんなに悩んでも、どんなに理想を押し付けられても自分のままいていいって。そのままの自分を好きでいてくれる人がここにいる。だから、そのままいて欲しい。直接伝えようと思ったけど恥ずかしいし、きっと顔見るだけで話せなくなっちゃうからごめんね。

好きです。
あいたかより。
(なまえ)
あなた
………っ……っ
お父様
だ,大丈夫か…?
(なまえ)
あなた
うれしい…です
お父様
え?
(なまえ)
あなた
こんなふうに思ってくれることが嬉しいんです。
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
…そっか。
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
よかったね!お兄ちゃん!
(なまえ)
あなた
うん。
その日からずっとお父様は俺のことを気にかけてる。

お母様とも仲は戻ったけど、それでもモヤモヤは消えない。でもそんなこと高校生になった今じゃ,どうでもいい。
(なまえ)
あなた
お母様ごちそうさまでした。学校いってきますね。
莉梨花の母
あらもうそんな時間かしら、いってらっしゃい。
莉梨花の母
…ねえ莉梨花
(なまえ)
あなた
は、はい。
莉梨花の母
まだあなたは私の言葉に傷ついているの?
(なまえ)
あなた
っ……なぜきゅ,急に…?
莉梨花の母
最近お父様から聞いたのよ。
莉梨花の母
お前のせいでずっとあの子の傷が癒えないって
(なまえ)
あなた
そ,それはっ…_俺じゃなくて、私の問題ですし…
莉梨花の母
なんで今俺って言ったの?
(なまえ)
あなた
あ…い、いや違うんです!
莉梨花の母
あなたは“女”じゃ嫌なの?
(なまえ)
あなた
ち、ちが_____________
莉梨花の母
そうなんでしょう?
(なまえ)
あなた
違うからっ!
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
お,お母様!何をまた口出してるんですか!ダメですよ!
(なまえ)
あなた
っ…
莉梨花の母
快斗には関係_____________
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
俺の大事な“お兄ちゃん”ですからね!関係ないわけがない!
(なまえ)
あなた
そ、それ、は…
田沼 快斗(たぬま かいと)
田沼 快斗(たぬま かいと)
じゃ、俺は行きますね。行ってきます
(なまえ)
あなた
はぁ、はぁ、はぁ、
(なまえ)
あなた
…お母様、行ってきます
まだ涼しい朝の空気の中、莉梨花は制服の袖口を整えながら玄関に立った。
莉梨花の母
あら〜もうそんな時間なのね〜。行ってらっしゃい
(なまえ)
あなた
はい
莉梨花の母
昨日MV見たわよ〜
(なまえ)
あなた
っ……!見たんですか……?
思わず靴を履く手が止まる。
莉梨花の母
ええ、とてもいい曲だったわね〜
母の声は穏やかで、けれど少しからかうような響きが混ざっていた。
(なまえ)
あなた
本当ですか……ありがとうございます
ずっと怖かった。

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