その日は朝から落ち着かなかった。
机に向かっても、本を開いても、
頭の中はひとつのことでいっぱいだった。
__ジョングクの受験の合否。
彼の人生を大きく変える一日。
そして、僕の未来をも揺るがす日。
スマホを何度も確認する。
時間が過ぎるたびに、
胸の鼓動が早まっていく。
数十分後。
着信音が鳴った瞬間、
心臓が喉までせり上がった。
その声を聞いた瞬間、
全身の力が抜けた。
気づけば、涙が滲んでいた。
電話の向こうで、
彼が少し息を弾ませながら続けた。
思わず息を飲む。
海外__
遠く離れてしまう未来が、
頭に浮かんだ。
ドクン、と心臓が跳ねた。
まさか、そんな……。
受話器越しに聞こえる真剣な声に、
喉が詰まる。
嬉しさと恐れと、
迷いが入り混じって、
すぐには言葉が出てこなかった。
確かに、ずっと迷っていた。
踏み出す勇気がなくて、
決められなかっただけだ。
ジョングクの声が、静かに胸に届く。
__未来。
あの公園で“運命は意地悪だ”と
嘆いた僕に、今こうして新しい道を
差し出してくれている。
深呼吸をして、はっきりと言った。
電話の向こうで、
彼が大きく息を吐いたのがわかった。
その瞬間、
胸いっぱいに広がったのは、
不安よりも希望だった。
前世で叶えられなかった未来が、
今世では僕たちを待っている。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。