猫又。
それは日本に古くから伝わる妖怪の1種。
「ソレ」の特徴は、尾が2つに分かれていること。
そしてさっき八雲さんは、
捜している猫の尾が2つに分かれていると言った。
猫又だということを知って飼っているのだろうか。
何れにせよ、捜さなくては何も始まらない。
彼は放心状態で何も言わない。
彼には先輩としての重圧があったのかもしれない。
そんな状態の彼を引っ連れ回すのも可哀想で、
私は1人で捜すことした。
猫じゃらしでにゃんにゃん言わせときゃ良いだろ。
そんな気持ちで軽く承諾する。
すると。
人になった。
そう言えば猫又って人になるって聞いた事がある。
けどこれまでずっと猫だったのだから、
異能を持つ私には及ばぬだろう。
ナチュラルに心を読まれたけどスルーしとこう。
私は開始と同時に飛び込んできた彼を避けられず、
押し倒されていた。
彼は余裕綽々という表情で
私に覆い被さるように四つん這いになる。
彼が手を私の顔の近くに近づけて、
必然的に顔も近くなる。
物分りの悪い子供にするような顔をして、
手をついていたのが今度は肘になった。
顔はもっと近くなり、彼の吐息を肌に感じる。
解放してくれた。
そういうのに慣れてない醜女なので
やめて頂きたいのだが。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。