第24話

 2-5.「ぐちゃぐちゃになってもずーっと一緒だよ。」
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2026/04/07 13:27 更新


―因果とは、原因と結果を示す言葉である。
 2つが惹かれ合ってようやく成立する世の中の定理。
  すなわち、2つで1つ。

天塚 光
天塚 光
世界には「因果応報」と言う言葉があるらしいですね。


バランス・オブ・ウィズダムBalance・of・Wisdom

世の中の因果を崩し、常識では有り得ない結果を引き起こすレーテ。
彼女のレーテの恐ろしいところは、その制限がないところだ。世に存在するあらゆる原因と結果の関係を崩壊できる。もし、レーテが暴走すれば地球1つ壊すことだって容易くない。


シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
だからどうしましたか?



日曜日に生まれた子A child who was too happy

簡潔に言えば、重力を操るレーテ。ただし、操っているのは空気と粒子、その間に起こる反発の関係(この関係は詳しくは不明)であり、重力自体を操っているわけではない。何故なら人工だからだ。
その操従量は半径3km以内であれば可能である。
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
ひぇ...:(´꒳` ‧̣̥̇):
⇧治癒系レーテ


2人のレーテが互いに衝突し合った結果は、光が居た小部屋1つと扉の破壊のみ。
白かった申し訳程度の壁紙は剥がれて焼け焦げている

リーファはシェルに引っ張られ、既に廊下へと出ていた。
シェルは入り口を塞ぐように立っている
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
確かリーファさんとか言いましたか
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
え、えぇ、そうです...この状況、ってどうすれば
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
兄からよく聞いています。こういうときは―


ぶっきらぼうに髪をまとめていた簪を外す。
光はその部屋の中心で何事もなかったかのように突っ立っていた。

通常であれば、収容所内で罪人がレーテを使うことは不可能だ。
ただし。

稀にいる。その"事実"を無効化したり、或いは因果を崩す者が。
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
力で捻じ伏せるのが1番だと。






「 静かな目に狂気が宿る瞬間ときに、人は本性を表す。 」









天塚 光
天塚 光
私、あまり戦いは好きじゃないのです。


そう彼女がくすりと笑った、そのすぐ後。
0.1秒も経たなかった。








バンッ!!


破裂音が辺りに響き渡る。
何かが衝突したような音。


見れば鉄壁に細いものが刺さっている。
それは光頬をかすめた。罪人と言えども赤い血が滴り落ちる。
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
(...か、簪...?)


壁に刺さったそれは、先程シェルが持っていた簪だった。
重力を操るのだから物のスピードもあげられる。それは当然だ。

ただし、驚くべき事実を教えてあげよう。



"彼はレーテを使っていない。"
天塚 光
天塚 光
...
天塚 光
天塚 光
何してくれるんです?私の世界一美しい顔が傷ついたんですけど
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
...は?
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
へ?

2人が困惑したように首を傾げる
天塚 光
天塚 光
だーかーら、この国宝級美女の顔を傷つけましたでしょう?
天塚 光
天塚 光
私は!!それに怒っているんです!!



シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
...あ、そう。
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
わ、私治せますよ!!それぐらいであれば痕も残らないはずです...!

必死に宥めるリーファ。
と、半分呆れているシェル


シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
いやそうじゃない。そうなんだけどそうじゃないです
天塚 光
天塚 光
何がです?

さも当たり前かのように話す光を見て、シェルは頭を抱えた。
とても嫌そうな表情である

シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
なぜ僕らが扉を開けた瞬間にレーテを使用したんですか
天塚 光
天塚 光
だって見知らぬ人が入ってきたら追い返すでしょう?普通
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
あー、そういう...んじゃ、敵対心があったわけじゃないんですね?
天塚 光
天塚 光
なぜ初めて会った方にそんなもの抱くのですか。
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
....はぁ。なるほどねぇ。...兄さんに報告しないと、あー面倒くせぇ...

顔に疲れの色が浮かぶ。
なぜだろう。こんなにゲルニカ周辺の人が疲れるのは。

シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
僕らはあなたを殺しに来たわけじゃないんですよ。リーファさん、説明を
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
あ、分かりました!
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
えぇ、っと、貴方は罪を犯した"罪人"に括られています。
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
その中からレーテ脳のバグを発症した人達は罪人収容施設の「ゲルニカ」に収容されることになっているのです。御自分でレーテを発症したことは分かっていると思いますが...
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
ゲルニカはあくまで罪人の監視と更生をする場所なので、一応安心安全...あれ?安心...

そこで困惑してどうする。

天塚 光
天塚 光
で、そこに私が行くわけですね。
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
そういうことです、!



天塚 光
天塚 光
...なら、私は罪を犯したのですね。なるほど。理解が追いつきました
天塚 光
天塚 光
"今までの記憶は無いけれど"、だから私こんな場所にいたんですね


空気が更に詰まった。
一瞬、動けなくなるような重さだった。
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
...今までの記憶はない、だって?
天塚 光
天塚 光
えぇ、自分の名前ぐらいしか覚えてません
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
...あぁもう、仕事が増えた、クソ、マジでこの役職終わってんな。
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
?..なにか言いました?
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
いえ何も。まぁ覚えてないなら楽ですね


シェルが着物の裾をはたく。
リーファは腕の袖の中から首輪らしきものを取り出し、光に渡した。
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
これ、制御装置です。一応...人は殺せなくなります
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
首に付けると自動的に「ゲルニカに収容された罪人」として見做されます

天塚 光
天塚 光
首につける。なるほど?
天塚 光
天塚 光
ところで私の顔の傷はいつ治してもらえるんです?
リーファ・アルカネット
リーファ・アルカネット
あっ、えっと...ゲルニカの医務室で...
天塚 光
天塚 光
分かりました!



目を閉じたまま笑みを浮かべる第二の天使。
その容姿は、本当に美しいのである。
首輪をつける。
カチッ、と音がした。
シェル・アルジャーノン
シェル・アルジャーノン
(...天使が囚われるなんて、飛んだ馬鹿話だ)



もしかしたら。

罪を犯した記憶を戻したとき。


彼女は堕天するかもしれないな。



ゲルニカ内部 22・23階融合 模擬戦用部屋プレイルーム 同時刻

亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
うーむ。久しぶりに体を動かそうと思ったけど。
ロマ
ロマ
...
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
君誰?
入り口付近に立つ琉里。と、その向かい側にちょこんと座る人間と思しきもの。

迷い子とも見えるぐらいの幼い子供。
ただし、迷子ではない。それは有り得ない・・・・・のだ。

ゲルニカの出入り口、即ち1階は全て埋められているのだから。
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
殺して良い?ねぇ、僕最近依頼こなしてないんだ
ロマ
ロマ
....
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
....返答なし、か


やれやれ、というように手に刀を持った。常に持ち歩けるわけじゃない。"虚無から生成する"のだ。
怪しげに光を反射するそいつを前にしても、動かなかった。
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
そうだねぇ、僕じゃなければ君は無傷で帰れたかもしれないな
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
まぁでも、





亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
「死ぬべき人は死ぬべくして生まれてきたんだぜ!」


瞬間、得体のしれない少女の腕が切れる。

元々琉里が居た場所は氷漬けにされていた。
地面はパキパキと音を立てて、ゆっくりと冷たくなっていく。

ロマ
ロマ
....ぁ、
ロマ
ロマ
やっぱり、覚えてないんだ、私のこと


ボトッと腕が落ちる。
その腕は凍ることなく腐敗していった。幾らなんでも早い腐敗が、進む。
血液は落ちない。断面は確かに肉だ。

少女は後ろを向いた。


後ろに、琉里はいた。
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
何処かで会ったっけ?あんまり覚えてないんだよね
ロマ
ロマ
....あなたは、




ロマ
ロマ
あなたは、私を殺した。


その時だった。

少女の落ちた腕がぱちんと指を鳴らした。
くすりと笑った。

背後に居た彼女が"輪切りになった"。その字面のとおりに。

辺りに血が飛び散る。





















―そんな気がした。
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
もう一度言おう。君は死ぬべきだ。


―ゴトッ。

幼い子供の首が落ちる。
その隣に、和服姿の少女が血のついた刀を握っている。



亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
僕に喧嘩をふっかけたのが間違いだね
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
少なくとも、ここに来るべきじゃなかった。


子供の遺体がバタリと倒れる。
あり得ない早さで腐敗が始まった。辺りは凍っているのに、その血液は至って普通のように体の周りを流れた。
胴体と離れた頭が動く。くすりと笑ったままの笑み。

亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
(違う、笑ったままじゃない)


今、笑い始めたのだ。


ロマ
ロマ
はは、あははははは!!!あはははっ、はは、!!!
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
キモ。

キモで終わらせてはいけないと思うぞ。





テア・フィル・スカーレット
テア・フィル・スカーレット
あり?琉里っち人殺っちゃってる?
声に気づいて振り返る。

入り口でテアがアイスを頬張りながら手を振った。
近づいてきて様子をうかがう。
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
なんか居た。攻撃してきたから殺した
テア・フィル・スカーレット
テア・フィル・スカーレット
んじゃ悪くないねぇ

先に攻撃したのはそいつだぞ。


子供の腕が凍った
このまま行けば頭部も胴体も凍るだろう

補足するが、琉里のレーテは「物を凍らせる」ではない。
テア・フィル・スカーレット
テア・フィル・スカーレット
...戻る?死体アリで模擬戦しても邪魔でしょう
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
そだね。後は管理人に丸投げしよう


2人がくるりと死体を背にして歩き出した。

ぐちゃ、ぐちゃ、と何かを咀嚼するような音がする。
テア・フィル・スカーレット
テア・フィル・スカーレット
....え私じゃないからね?

確かにテアはアイスを食べているが。そんなにうるさく食わない。

音の正体が気になる。
2人で同時に、あと数歩というところで振り返った







氷白 あられ
氷白 あられ
...。


テア・フィル・スカーレット
テア・フィル・スカーレット
...誰?知り合い?
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
いや全く。

真っ白な少年が、死体を見つめていた。

正しく言えば、それ死体を貪り食う白蛇を眺めていた。
通常よりも遥かに大きい白蛇を。
氷白 あられ
氷白 あられ
...小人は、幾ら細かく切っても感覚が繋がっている。
氷白 あられ
氷白 あられ
だから、首を切ったぐらいじゃ完全には死なないんです。


少年は淡々と語り掛ける。

目はまだ白蛇を見ていた。
亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
....君誰?
⇧デジャヴ


氷白 あられ
氷白 あられ
俺の名前は氷白あられ。嫉妬の悪魔・・・・・を内に飼う大罪・・の一人
氷白 あられ
氷白 あられ
世間からは地獄ゲヘナの使者と呼ばれてます。
テア・フィル・スカーレット
テア・フィル・スカーレット
ふーん。良くわかんないけど あっちゃん呼びおk?
氷白 あられ
氷白 あられ
...白ちゃんとは言われるかな。
テア・フィル・スカーレット
テア・フィル・スカーレット
んじゃ白ちゃんって呼ぶね

テアのコミュ力は置いておいて。

白蛇の食事が終わったらしく、口周りを真っ赤にしながら少年の近くを這い回った。
もう死体の姿形は残っていない
氷白 あられ
氷白 あられ
話を戻すけど、小人は既に死んだ死体に無理やり新しい器をねじ込んだ言わば「生きた人形」です。
氷白 あられ
氷白 あられ
彼らの共通点は既に死んでいること。そして、誰かに殺されたこと。







亜麻音 琉里
亜麻音 琉里
なんでここに来たのか、教えてくれるかな?
氷白 あられ
氷白 あられ
....
氷白 あられ
氷白 あられ
協力しませんか。


その顔は、至って真剣なものだった。
静まり返る。3人しかいない(蛇含めれば4体)部屋にしてはそこは大きすぎた

目に悪魔の力が宿る。


氷白 あられ
氷白 あられ
悪魔の加護を貸しましょう。


にやりと、悪魔のように沈んだ笑みを見せる。
まさに悪い顔だった。



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