うどんパーティーは大成功。でも、その夜。 私は、九条くんが月明かりの下で一人、首元のネクタイを苦しそうに緩めているのを見てしまった
つむぎ:……九条くん? まだ起きてたの?
聖:……っ。……あぁ、お嬢様。少し夜風に当たっていただけですよ。……まだお休みになっていなかったのですか?
九条くんが慌ててネクタイを締め直す。 でも、その一瞬。彼の白い首筋に、見たこともない奇妙な紋様のようなアザが見えた気がした
つむぎ:……ねえ、九条くん。それ、どうしたの? どっか怪我でもした?
聖:……何のことでしょうか。お嬢様は、少々お疲れのようですね。……さあ、部屋に戻りましょう。甘いココアを用意しますから
つむぎ:……またそうやって誤魔化す。……九条くんって、たまにすごく遠いところにいるみたい
私は、彼の背中に向かって小さく呟いた。 完璧な執事。私のためにすべてを尽くしてくれる彼。 ……でも、私はまだ、彼がなぜ「私」を選んだのか、本当の理由を知らない
聖:…………
九条くんは立ち止まり、振り返らずに答えた
聖:……私は、ずっと昔から、あなたをお迎えに行く準備をしていました。……それだけは、信じてください
つむぎ:ずっと昔から……? 出会ったの、つい最近じゃん
聖:ふふ。……そうでしたね。……お嬢様のマヌケな顔は、何年見ても飽きないものですから
つむぎ:マヌケって言うな!
私はいつものように言い返したけれど。 九条くんの背中が、どこか悲しく見えたのは……気のせいだったのかな
翌朝。 学園の掲示板には、昨日までとは一変した「不穏な空気」が漂っていた。 私の素性を探る、怪しい黒服の男たちが学園の周囲に現れ始めたという噂──
つむぎ:……なんなの、これ。うどんの次は、探偵ごっこ?
聖:……お嬢様。これからは、私の側を一歩も離れないでください。……いいですね?
九条くんの瞳から、いつもの余裕が消えていた。 それが、私たちの「平穏な学園生活」が終わる合図だったなんて、その時の私はまだ知らなかったんだ
作者です!今日めっっちゃあげるんでよろです!
完結までもってきます












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。