第34話

No.33 彼女
2,492
2021/03/02 04:54




気まずい沈黙が流れる






彼女は何も言わないし目の前から動かない







渡辺翔太
なんか…言えよ。




そう言って俺は立ち上がった





あなたはまだしゃがみ込んだままで






あなた
嫌じゃ…なかった…
渡辺翔太
え?
あなた
う…れ…しかっ…た…



彼女の方を見ると目を潤ませていた…






あなた
心配…して…もらえ…て
抱き…しめ…てもらえ…て
こんな…気持ち…初めて…で
あっ…たかい…感じが…して
なん…て言ったら…いいのか…




俺はまた彼女をきつく抱きしめた








渡辺翔太
ねぇ?それって俺のこと…さ。
あなた
わか…らな…い。
で…も…。




そう言いかけた彼女の言葉を遮って





抱きしめてる腕をさらにきつくする







渡辺翔太
あなたっ…
好き。
お前が好き…
俺と、付き合ってよ…



言ってしまった…










あなたは何も言わない








ゆっくり…そっと…俺の背中に手を回してきた







そして








ゆっくりと頷いた









おれは、びっくりして








バッとあなたを離してしまった







渡辺翔太
ほんっ…とに…いいの…?
あなた
逆に…わたしで…いいの…?



不安そうに下を向きながら長い髪の毛を




ゆっくりと耳にかけた







渡辺翔太
あなたがいい…ニコッ





そう言うと彼女はゆっくりと笑顔になり







あなた
よろしく…
お願い…します…




そう言って上目遣いで俺を見てきた








それがまた可愛くて、ますます好きになる///















彼女なんだけど…





いま、えっ。






あなたが今日から彼女なんだけど。









俺は嬉しくて嬉しくてニヤニヤが止まらなかった



































あなたが彼女になった時のこと



今でも鮮明に覚えている



初めて泣いた姿を見て



その姿もまた綺麗で



どんどん引き込まれていくような気がした



抱きしめたぬくもり



忘れられないよ…





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