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第12話

やめた方がいいですよ
春奈
春奈
先輩、ご馳走さまでした
お腹がはち切れそうなほど、膨れたお腹を抑えながら、あたしは先輩に向かって頭を下げた。
健 先輩
健 先輩
全然、気にしないで
映画の後、あたしと先輩はファミレスで夜ご飯を食べた。

ファミレスでも先輩は相変わらずかっこよくて、店員やお客が先輩へと視線を向けてると気づいてからはずっと隣の席に座ってた。

今だって家まで送って貰いながら左手には先輩の大きな手があたしの手を包んでくれている。
健 先輩
健 先輩
まだ、帰したくないな
春奈
春奈
先輩……♡
あたしももっと先輩と一緒にいたい。そう思って先輩の肩に身を寄せた。

するとーー。
健 先輩
健 先輩
でも遅くなるとご家族の方が心配するといけないから、今日は引き止めないでおくね
そう言いながら先輩はあたしの肩を掴んで、あたしをその大きな体の中へと引き入れた。

その勢いのまま、あたしをギュッと抱きしめている。
春奈
春奈
うっぷ
健 先輩
健 先輩
大丈夫?
思わず嗚咽を漏らしてしまい、あたしは慌てて笑顔を取り繕った。
健 先輩
健 先輩
たくさん食べてたもんね。お腹圧迫させちゃったかな
春奈
春奈
だっ、大丈夫です……
あたしはあははと笑ってみせた。

先輩は腕の力を緩めて、今度はそっと抱きしめてくれている。

あたしは固まってされるがままだ。

すると、今度は先輩があたしの一つに結んでいる髪に触れて、その髪と戯れるようにキスをした。
健 先輩
健 先輩
ごめん、もう待てないんだけど
春奈
春奈
(きっ、きた……!)
健 先輩
健 先輩
キス、していい?
あたしは口を開けずにただ黙って目を閉じた。

呼吸も止めて、ただ静かにその時を待った。
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃん……
先輩の声がすぐそばで聞こえる。

さっきよりもずっと近くに感じる。

先輩の吐息があたしの顔にかかって、あたしは再びキュッと全てを閉じた。
春奈
春奈
(大丈夫、今度こそ……)
そう思った時だった。
陽太
陽太
家の前で何やってんの?
春奈
春奈
よっ、陽太!
陽太の声に驚いて、あたしは思わず目も口も、全てを全開に開けた。

先輩も目を閉じかけていたのに、パッと目を開いた様子があたしの目に飛び込んできた。
陽太
陽太
悪いけど、ここ春奈ちゃんの家の前じゃないので、そういうことはやめてもらえますか?
あたしは条件反射とも言うのだろうか。気がつけば、先輩から飛びのいていた。
健 先輩
健 先輩
……なんでお前がここにいるんだよ
陽太
陽太
だってここ、僕の家なんで
健 先輩
健 先輩
はぁ?
陽太
陽太
春奈ちゃんの家は隣ですよ、先輩
陽太は玄関からすぐそばにある柵に体を預けながら、隣を親指で指差した。

そう、陽太の家はあたしの隣なのだ。
健 先輩
健 先輩
お前の家がどっちか知らないけど、邪魔すんなよ
先輩は再びあたしの体を引き寄せて、ギュッと抱きしめた。
春奈
春奈
うっぷ
再び嗚咽を漏らしてしまったけれど、今度の先輩はそれどころじゃない様子。

陽太を睨みつけながら、あたしの頭に顎を置いた。
陽太
陽太
それよりさっき、春奈ちゃんにキスしようとしてました?
やめた方がいいですよ
健 先輩
健 先輩
お前にとやかく言われる筋合いはないだろ
陽太
陽太
いいんですか、そんな事言って。
僕春奈ちゃんのお父さんと仲良いんですけど、呼んじゃおうかなー?
春奈ちゃんのお父さん、すっごい怖いんですよ、昔ヤクザだったとか言って刺青も沢山体に入ってるんですよ
健 先輩
健 先輩
……!
春奈
春奈
あのー、先輩……
それ、陽太の嘘です。

ウチの父は普通のサラリーマンで、全然ヤクザでもなければ刺青なんて一つもない中肉中背なおじさんです。

むしろ母に尻に敷かれてるくらい、優しい父です。

……そう言おうとしたのに、先輩は慌てた様子であたしの体から身を離した。
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃん、今日のところはこれで帰るよ。また連絡するね、おやすみ
春奈
春奈
……あ、はぁ
先輩は一度陽太を睨んだ後、そのまま去って行った。