第20話

ぺんてぃとキャンプ
66
2022/09/03 00:29
………眠い。
うぅ……でも起きなくちゃ!

3…2…1…!
ぺんと
んんー!
俺は時計を見る。
現在時刻、朝7時。

結構早く起きられたかな?
カーテン越しでも朝日が透けて差し込んでくる。

伸びをし、ベッドを立つ。
……ここから、俺の闘いが始まる。

昨日は見事に敗れた。
大敵の犬から、遠隔伝達メールがきたためだ。

あいつは本当に厄介。

人の好奇心をそそる音に加え、見なくちゃ、返事をしなくちゃという
焦りを加えられる。

でも、今日は大敵からの遠隔伝達はなかった。
だから自己ベストを更新出来るかもしれない。

ここは1日を生きるために大切な闘い……_______
ぺんと
うおっ!?
…敗れた。
布団から出てからしゃべってしまった。

これは完全なる敗北。
2日連続で……!
ぺんと
いってぇーッ!
その上負傷するとダメージが100万入る生命の5本目小  指をぶつけてしまった……!

激痛が走る。
もうヤダァ〜!

とりあえず足を抱えながら洗面所へ行き、中の唾液を出す。
はぁ……。

今日の昼飯はなにを食べよう。
てか家にナッツあったっけ。

ピロリンッ
ぺんと
何……なんだよもう……
『今日キャンプ行ける……?』
ぺんと
はぁ……?
あー、眠い。
気づいたら7時だったな。

現実を受け止めたくはないけど、受け止めるしかないよね。
昨日徹夜で仕事をしてたら、この様。

もう無理。
無理すぎる。

だからちょっとリフレッシュしたいなぁ。
キャンプでもいこかな。

……でも1人も嫌だな。


あ、ぺんと誘うかぁ!
ぺんとキャンプ好きだもんねっ!

私はメールしてみた。

『いいけど……どうしたの?』

ナルホドネェ……
健康マンに徹夜なんて言ったら怒られるかなぁ。

今日寝てないからなぁ……

『なんかちょっとリフレッシュ行きたいなって!』

これで怒られないはず!
リフレッシュで俺誘うとか、可愛いかよ。
実際生命の5本目をぶつけて、俺の1日はめちゃくちゃになっていることは確かだった。

あ’‘ーせっかくだから行くかぁ!
でもなんで俺を誘ったのかキニナルヨネェ……。
ぴーんブォォォォーン
あなた
あ、きた!
ガチャ
ぺんと
どうしたの?
こんな朝に……w
あなた
いやぁー…なんか…ねぇ?
ぺんと
なんか隠してるでしょ
なんか隠してるでしょって言ってるぺんてぃ想像したら
可愛いすぎるッッッッッッッッッッッ(((
あなた
( ・∇・)
ぺんと
わかりやすっw
あなた
いや、マジで、なんか、仕事、疲れた。
ぺんと
あ、仕事してたのか。
あなた
あ’‘ぁーーーーー
ぺんと
……寝てないでしょ?
あなた
うぅ……ウン
ぺんと
ふふっ、俺車で来たから…車で寝な?
夢    ぺ
( T_T)\(^-^ )
あなた
うん……ありがと……
あなた
……(( _ _ ))..zzzZZ
ぺんと
寝るの早いな……w
疲れてたんだよね。きっと。
すごい仕事大変そうだし……クマできてるし。

可愛いなぁ…wホントに。

信号が赤になったら、あなたの下の名前の寝顔を見る。
キャンプ場行っても寝ちゃうんじゃないの?
あなた
ハッ
ここ……あれ、ここどこだぁ?
見たことないな……いつも行くキャンプ場じゃない気がする。

でも木々が沢山生えているところから、キャンプ場っていうことは分かる。
んー……綺麗だなぁ。

私はなんとなく隣を見てみた。

……ぺんと?

ぺんとは気持ちよさそうに寝ている。
眠かったのか。

……あちゃ、私が寝てたのか。
なんだ、起こしてくれれば良かったのになぁ。
ぺんと
んっ……あ、起きたぁ〜?
あなた
うおっ。
ぺんとが伸びをしながらこちらを見てくる。
起こしちゃったかなぁ。すまん。
ぺんと
ちょっといつもと違うところきてみたんだぁ
あなた
あっ…そうなんだ
ぺんと
ここね、テントじゃなくて…なんかコテージみたいなところ
あなた
え、テントじゃないのぉ?
ぺんと
うん!いいでしょー?(`・ω・´)ドヤー
あなた
………
ぺんと
えっ……あー、…えっとぉ…嫌だった…かな?
安定のドヤ顔に、私の心臓が盛大に暴走し始めた。
今は可愛い彼氏がいいとかなんとか言ってるけど、可愛い人を狙ってたわけじゃない。

なのに家庭仕事できて優しくて可愛いとかもう……
私めっちゃいい彼氏引いたんじゃないですかぁ!?

私の心臓にクレーターができるよ、多分。
あなた
めっちゃいいよ………!
この『いいよ』はキャンプ場に対してのものではなく、
ドヤ顔を応援するいいよであった。

…私はぺんとから一度顔を逸らし、周りを見てみる。
にしても広いキャンプ場だなぁ…。

後ろには、大きな家みたいのがあった。
あなた
あそこ、泊まるの?
ぺんと
うん!
広いらしいから行ってみましょう!
あなた
はいっ!
中に入ると、本当に裕福な家の別荘みたいだった。
どこかおばあちゃんの家を思い出す雰囲気。

広々としているこの部屋は、とても開放感があり居心地がよさそうだ。
靴を脱ぎ、かかとを揃え、中へ入ってみる。

二階建てになっている様で、吹き抜けになっている。
開放感があるのは、この吹き抜けのせいかもしれない。

なんとなく、テレビ前のソファーに座ってみる。

ザラザラとした荒めの布がカバーとしてあるこのソファーは、
子供の時、家具屋で遊んで座っていたソファーそのものだった。

あぁー、もうここから動けなくなりそう。
どこかのフニャフニャしたクッションみたい。

ヨギ……ヨギ……?ヨギb……あぁ、いけないいけない。

ぺんと
あっ!
冷蔵庫結構もの揃ってるよ………ってあなたの下の名前?
……え、寝たの?
嘘だ……え?w

はっや。
まだ部屋に入ってから10分くらいしか経ってないよ…。

あなたの下の名前はソファーに座りながら寝ている。
………あ、寝てないんだっけ。
やっぱ疲れてるんだね。

俺はなんとなくあなたの下の名前の方へ向かう。
さっき手は洗った。

あなたの下の名前の顔の正面につく。
……綺麗な肌だなぁ、なんて思いながら無意識にも、俺の手はあなたの下の名前の頭を撫でていた。

あなたの下の名前の顔を、こんなにも近くで見たことがあっただろうか。
少なくとも、喉に刺さったアジの骨を取ってもらった時くらいだ。

言ってはいないが、ここは長野県。
東京から車で来たから、相当な移動距離。

それでも寝足りないとは、一体どれだけの仕事量なんだろう。
きっと俺だったら疲れて気が狂っているかもしれない。

いや、エスカレーターを逆走するかもしれない。

いつのまにか俺は、顔から目を離せなくなっていた。
ほんのり色が付いている唇はいつもは見ない色だった。
私やで
一回切るわ(((

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