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第65話

墓参り
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2024/07/03 22:00 更新
無事に退院し、父と母が乗ってきていた車に乗り込む。

「こうして家族3人で車に乗るのも…随分久しぶりね…」
母は震える声で、息子の手を握りながら言葉を口にする。
あなた
「泣かないで…ってのは無理な話か。心配かけてごめんな。ただいま、母さん。親父。」

「あぁ…おかえり…あなた。」

「おかえりなさい…!」
運転席に座る父の顔は見えないが、ミラーが一瞬キラリとしたのをあなたは見逃さなかった。
母が思い切り抱きしめてくる。年頃の少年ならうっとおしがるのだろうが、約2年の空白があった。再会を喜ぶ気持ちこそあれ、嫌な気持ちなど微塵も無かった。

「さて、とりあえず我が家に帰りたいだろう?2年ぶりだからな。」
しんみりした空気を変えたかったのか、声に力を入れて父は話す。家に帰ろうかな…と言おうとしたが、喉で止まった。
あなた
「…親父。退院したてで悪ぃんだけどさ、あそこに連れてってくれよ。」

「…!あぁ、分かった。」
俺の意図を汲んでくれた父が車を走らせる。しばらく車に揺られて着いた場所は、共同墓地だった。目の前にはたくさんのお墓が並んでいる。
あなた
「約2年も墓参りをサボっちまったからな…ちゃんと挨拶しとかねぇと…」
そうして、親友の眠る場所へと足を運ぶのだった。
あなた
「悪ぃな…随分と久しぶりになっちまった…話したいこと、いっぱいあるんだ。長くなっちゃうんだけどさ、聞いてくれよ。」
そこから、思い出すように、ぽつりぽつりと話し始める。
SAOでの出来事、そこで出会った仲間たちのこと、命をかけて戦ったこと、その全てを。
決して短いとは言えない時間が過ぎ去るまで、父も母も何も言わずに、静かに話に耳を傾け続けていた。

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