無事に退院し、父と母が乗ってきていた車に乗り込む。
母
「こうして家族3人で車に乗るのも…随分久しぶりね…」
母は震える声で、息子の手を握りながら言葉を口にする。
あなた
「泣かないで…ってのは無理な話か。心配かけてごめんな。ただいま、母さん。親父。」
父
「あぁ…おかえり…あなた。」
母
「おかえりなさい…!」
運転席に座る父の顔は見えないが、ミラーが一瞬キラリとしたのをあなたは見逃さなかった。
母が思い切り抱きしめてくる。年頃の少年ならうっとおしがるのだろうが、約2年の空白があった。再会を喜ぶ気持ちこそあれ、嫌な気持ちなど微塵も無かった。
父
「さて、とりあえず我が家に帰りたいだろう?2年ぶりだからな。」
しんみりした空気を変えたかったのか、声に力を入れて父は話す。家に帰ろうかな…と言おうとしたが、喉で止まった。
あなた
「…親父。退院したてで悪ぃんだけどさ、あそこに連れてってくれよ。」
父
「…!あぁ、分かった。」
俺の意図を汲んでくれた父が車を走らせる。しばらく車に揺られて着いた場所は、共同墓地だった。目の前にはたくさんのお墓が並んでいる。
あなた
「約2年も墓参りをサボっちまったからな…ちゃんと挨拶しとかねぇと…」
そうして、親友の眠る場所へと足を運ぶのだった。
あなた
「悪ぃな…随分と久しぶりになっちまった…話したいこと、いっぱいあるんだ。長くなっちゃうんだけどさ、聞いてくれよ。」
そこから、思い出すように、ぽつりぽつりと話し始める。
SAOでの出来事、そこで出会った仲間たちのこと、命をかけて戦ったこと、その全てを。
決して短いとは言えない時間が過ぎ去るまで、父も母も何も言わずに、静かに話に耳を傾け続けていた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。