第23話

喧嘩の常套句
385
2026/06/30 22:08 更新
朝ごはんを食べたあと、シルラが珍しく淡い金髪を高めに結っていた。何かするのだろうか。

「表に出ろ」

喧嘩の常套句を口にしたシルラの手には杖が握られていた。


外に出て少し歩くと、開けた場所に出た。
シルラが杖の先をノアに向ける。
やはりかき氷みたいだ。
杖の先に魔法陣が現れた。
蜘蛛を殺した時よりも大きかった。

「これから簡単なゲームをする」

シルラは少し笑って続けた。

「動けなくなった方の負けだ」

そう言ってシルラは魔法陣から白い光を撃った。
防御魔法を張らなければいけないのに、イメージ出来ない。情報量が多い。
おろおろと考えていると、こちらに向かってきていた白い光がノアの目の前でフッと消えた。
あれが当たっていたら死んでいた。
恐怖に足がすくむ。
ノアはぺたんと地面に座り込んだ。

「お前、今ので死んでたぞ」

少しこちらを睨みながらシルラが言った。

「咄嗟に張れなければ意味がないだろう」

「そう...ですね」

実戦なら、敵はノアに当たりそうだから呪いを撃つのをやめる、ということはしてくれない。

「お前の負けだな」

シルラが呆れたように吐き捨てた。
それに少し、少しだけ、むかついた。
臆するな、と自分に言い聞かせて立った。

「まだ、動けますから」

ん、とシルラが少し驚いた顔をした。

「そう、こなくては」

シルラが不敵に笑った。





冬の昼間は短い。
もう夕陽が射している。

「インゼクティード(虫を殺す魔法)」

もうn回目の虫を殺す魔法(インゼクティード)だ。
殆ど無いに等しい集中力を全て注いで白い光が弾ける様をイメージする。
ノアの周りの魔力はとうに尽きていたので200メートルは離れていよう場所から魔力を調達した。
壁になれ。
あの魔法を防ぐような壁に。
ぎゅっと目を瞑って魔力を注ぎ込んだ。
バチン、と音がして目を開けると魔力の壁に白い光が散っていた。

「わぁ...」

達成感よりも何よりも、綺麗だ、とノアは思った。

「お前の勝ちだな」

柔らかく笑ってシルラが言った。
疲れた、と言いながら首をコキコキ鳴らしている。
疲れたというわりに息ひとつ乱れていない。
それに、シルラは今日、虫を殺す魔法しか使っていないのだ。

「..........ずるいです」

「何がだ」

ポニーテールが揺れてこちらの方を向く。
少し目にかかった長めの前髪の向こうから青緑色の瞳が覗いた。

「なんでも、ないです」

全部だ、とノアは思った。























シルラさんのビジュが決まった(?)

プリ小説オーディオドラマ