ひとつ気づいた事がある。
ノアは昨日防御に手一杯で一度も攻撃していない。
動けなくなったほうが負け、というのはシルラが含まれていない筈がない。
つまり、シルラを負かせられる可能性がないわけではないのだ。
昨日と同じ開けた場所。
遠くから見てもよくわかる程に大きな魔法陣がシルラの杖先に現れる。
(来る)
急いで防御魔法を作った。
たぶん、弾ける筈だ。
だが、10秒経っても、20秒経っても魔法陣からは白い光は打ち出されない。
ふとシルラの方を見ると、シルラはノアの後ろを見つめている。
シルラの目線が向く方を見ると、ノアのすぐ後ろに大きな魔法陣があった。
防御魔法を、張らなくては。
魔力を集めなければ。
「...え」
何故かノアの周りの魔力を自由に使えない。
まるで、既に誰かの手の内にあるように。
慌てている己の弟子を遠くから見つめて、シルラは
くふっ、と少し笑った。
「インゼクティード」
白い光が、真っ直ぐにノアの方に向かってくる。
きっと、あれは僕を貫いていくのだろうな、とノアは思った。
「あれ、生きてる」
ご丁寧にシルラはノアの周りに防御魔法を張ってくれていた。
それが虫を殺す魔法を防いでくれたのだ。
「フェイントだ」
気がつくとシルラがすぐ近くまで来ていた。
「わたしが最初に魔法を撃とうとして、お前はそちらに気を取られていた。その隙にお前の後ろから魔法を撃てば、お前を殺せるというわけだ」
シルラが少し楽しそうに言う。
「魔力が使えなかったのは...?」
「あれはお前の周りの魔力をわたしの支配下に置いた。魔力を自分の支配下に置けば、他の誰も干渉出来ないから、魔力が確保できる」
魔力は魔法に必須だからな、とシルラは付け足した。
やっぱりいろいろずるい、とノアは思った。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。