第4話

サイクリング当日①
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2025/10/01 13:42 更新
ピンポーン
鳴子 章吉
お邪魔します〜!
鳴子と約束したサイクリング当日、朝7時に鳴子はやってきた。
はーい......あら〜!鳴子くんじゃないの!久々じゃねえ。
鳴子 章吉
お久しぶりですー!あなたの下の名前のおかん元気そうでなりよりや!
一階から鳴子とお母さんの話し声が聞こえてきた。
あなた
あっ鳴子!ごめん、もう出るけえ待っとって!
2階の自分の部屋からひょこっと顔を覗かせながら、一階にいる鳴子にそう言った。
鳴子 章吉
おー!あなたの下の名前おはようさん!ゆっくりでええでー!おかんと話しとるし!
あなた
うん!鳴子もお母さんもありがとー!
はやる気持ちを押さえながらしっかり日焼け止めを塗り、鏡に向かってよしっ!と言うと、あなたの下の名前は階段を駆け降りた。
あなた
ごめん、鳴子待たせてしもーて
鳴子 章吉
ええで!準備はできたかー?ほないくで!あなたの下の名前のおかん!あなたの下の名前をお借りしますー!鳴子列車安全運転で行きますんで安心してください!
はいはい、気をつけてねーと玄関先に立つお母さんから言われて、あなたの下の名前もはーい!と答えた。振り返ると鳴子がもう自転車に乗って待っている。

ついに、鳴子と2人で自転車で走るんだ。

そう思うとついつい、頬が緩んでしまう。

あなたの下の名前も軒下に置いてある自分の自転車を取りに歩き出した。今日もよろしくね。そう思いながら、自転車に跨り鳴子の方へと向く。
あなた
よし、お待たせ!行こっか!
そして、長いようであっという間のサイクリングが始まった。
家の前からスタートしたサイクリングは国道17号沿いに向かっている様子。
あなた
ねえ、鳴子、これってさ、久々にロード再開した人が行けるコースなんよね?
鳴子 章吉
カッカッカッ あなたの下の名前なら大丈夫やろおもとるで!
あなた
ちょっとまってどうゆうこと?いける?いけない?
鳴子 章吉
行ってみればわかるゆうことや!
少し前を走る鳴子が後ろをちらっと振り向きながら笑っていた。
にやっと。
引っ越してきてから、あまり乗ってないあなたの下の名前はここらの地理を把握できてない。でも、なんとなくわかる。このニヤリ顔は良い意味じゃない。きっと。
あなたの下の名前は顔をヒクつかせながら、もう一度聞く。
あなた
行ける距離だよね?
鳴子 章吉
海見に行こーおもてんねん!
あなた
.....ん?うーん。ちょっと分からんけど、出来るだけ頑張る
鳴子 章吉
おー!安心しときや、鳴子号に乗っとれば海まであっという間やで
ほんまかいな!と心の中で叫びながら、鳴子の後ろ姿を見た。
なんとなーく、昔よりは大っきく見えるよなぁ。
周りの景色を見るでもなく、じーっと鳴子の方を見る。
鳴子 章吉
なんやあなたの下の名前。前見とってもわかるで。見過ぎやねんワイの事。なんか背中についとるか?
あなた
そーほくって書いてあるなぁってみよった
鳴子 章吉
嘘つけぇ!背中に穴が開くかゆうほどじーーっと見とったやないか!
あなた
そうゆう鳴子こそ、穴が開くほど見られとるところをじーーっとみよったんじゃろ?
鳴子 章吉
...ワイと同じノリで返してくるのあなたの下の名前くらいやでほんま!見とった!見とったけどぉ!お互い様やろ!
あなた
はははっ!ほんまよね!鳴子やっぱおもろいっ!
走りながら、目の端に涙が浮かぶほど笑っている。
あなた
鳴子の背中、おっきくなったなと思ってみよったんよ
笑う流れのついでに本音も混ぜてみた。
鳴子は、せやろ!1センチ伸びたんや!とかドヤ顔で言っている。
あなた
1センチじゃそんな変わらんやろ!頼りになる背中になったねってことよ!
鳴子 章吉
そう言われるのは悪い気せんな!カッカッカッ
昔はあなたの下の名前に追いつきたくて追い越したくて必死やったからなぁ
あなた
うんー。昔は...かー。
鳴子 章吉
あー、すまんなぁ。そうゆうつもりはないねんで。
あなた
大丈夫よー、気にせんでー。
そこから、少しの間、前だけ見て風の音と車の音、バイクの音信号の音を聞きながら走る時間があった。

あなたの下の名前も鳴子も無言だった。

市街地区間が終わる少し前に、鳴子が口を開いた。
鳴子 章吉
そろそろ、市街地区間も終わりや!
ここを抜けると、山を超えて海沿いに出るまでは信号がない。
あなたの下の名前の得意の登りやで!思いっきり走りや!
あなた
やっぱサイクリングじゃないやん!そんなことだろうと思ったけど!鳴子!泣いてもしらんよ!
そう言って、山に入る前の最後の信号であなたの下の名前が前に出ると、鳴子は満足そうに笑った。
鳴子 章吉
ハンデ、やるわ山頂まで。5分....5分ここで足ついて待ったるから思いっきり登れ!
鳴子からプレッシャーを感じる。
これが今年インターハイを制したメンバーの1人の圧なんだ。肌にピリッと感じる。でも、知ってる本気の鳴子はいつもこうなんだ。腕を組んで、地面に片足をついてにやっと笑っている。

それでも負けるわけにはいかない。
わたしだってがんばる。

ドキドキする胸にギュッと手を当てて大きく息を吸った。

あなた
鳴子、ありがとう!
先に頂上で待っとるわ!
信号が変わって、あなたの下の名前は大きな勝負に踏み出した。
ーきばれや、あなたの下の名前ー

走り出す前、ぼそっとそんな言葉が聞こえた気がする。

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