ヤクザと協力するのも悪くはない。
そんな弔くんの考えでトガちゃんとトゥワイスくんが出向して行った。
しばらくして、二人から死穢八斎會がヒーローに確保されたと連絡を受けた。
残った私を含む連合メンバー5人は死穢八斎會の構成員が乗る警察車両を待ち伏せる。
圧紘さんの左腕は、鈍く輝く金属の腕に代わった。
少しの時間では慣れないかと思ったが、流石は元マジシャン。
持ち前の器用さで、元からそれであったかのように馴染んでいる。
とはいえ、圧紘さんが腕を持っていかれたことに変わりはない。
その事実に、私の奥底ではまだふつふつと怒りが沸いていた。
警察車両を視認してすぐ、弔くんが向かって行き、私たちも後を追った。
絶対的に戦闘に向かない私に与えられた仕事は、警察車両の中から目当ての物——“個性”消失弾を探すこと。
弔くんが壊した車両に乗り込み、荒れた車内をがさがさと探す。
見つけた小さな箱を弔くんに渡す。
拘束されたヤクザの隣にしゃがみながらそう言うと、妙に気分が良くなった。
マグ姉や圧紘さんの左腕の仕返しで、圧紘さんと弔くんがそれぞれヤクザの腕を捥ぐ。
これで、コイツはもう何も持たなくなった。
自由も、“個性”も、なにもかも。
そんな姿を見下ろして、本当に、すっかり気分が良くなる。
放心状態のヤクザに向かい手をひらひらと振って、トラックに乗り込んだ。
背後から汚い悲鳴が聞こえて、笑いが漏れる。
荼毘くんがそう口にした。
“イカれてる”だなんて、初めて言われた。
いつも通りの軽い言葉で言う。
それ以上何も言ってこない荼毘くんを尻目に、弔くんに渡した消失弾を見せてもらう。
赤い弾薬を触って、そんな会話をする。
これが“個性”を消す弾薬。
圧紘さんが撃ち込まれたものの、完成品。
ヤクザも、なかなか不思議なもんを考える。
突然弔くんにそう言われて、心当たりを探す。
襲撃開始時の、弔くんが警察車両を横転させた直後。
飛んだ弔くんに触れて、着地時の負担を減らしたのだ。
意外にも、そんな些細なことで褒めてくれるらしい。
そんなことを言いながら、トラックに揺られてアジトへ帰った。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。