第27話

エピローグ:結ぶのは、どこか違って
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2026/07/04 11:00 更新
——パタンッ

ノートを閉じる音が響く。
最後にアイツが来た日から、それなりに長い時間が経った。

繋がれていた機械もほとんど取れて、“個性”の使用を制限する機械だけになった。
それだけになってからは、時折外に出されるようになった。
日光浴みたいな、そんなもの。
でも、昼間の光は眩しくて、いつも不快に思いながら、リボンを挟んだノートを抱えて、ぼんやりとベンチに座っている。

刑務作業だとかはやらされないから、こうしてノートを開いては閉じて、毎日をなあなあに過ごしている。

ノートを開いて、いつもはじめに思い出すのは、圧紘さんの声。

張りのあるエンターテイナーとしての声や、静かな潜む者としての声、怪我をしたときにかけられる心配の混ざった優しい声。

全部が、はっきりと思い出せる。

髪に着けたバレッタを取って、掌に乗せる。
少し大きい、白いリボンのついたバレッタ。
焦げたリボンの代わりに、また圧紘さんがくれたもの。

真っ白で、綺麗で、純粋で、嬉しいもの。

これを眺める時間が、ここでできることの中で一番好きだ。

ふと思い立ち、ノートに挟んだリボンを取り出す。
バレッタをもらうより前からの、宝物。
少し焦げたけども、大切なのは変わらないリボン。

それを、なんとなく火傷跡の残った左手の薬指に巻いてみる。

結ぶことはできない長さだけど、巻いてみる。
あなた
……ははっ、おかし
なんでかわからないけれど、自嘲するような笑いが漏れた。
あなた
……こういうのは、違うかなぁ
何が違うのかも、はっきりとしないまま呟く。

しばらく、どこか動けずにいた。
解こうとも思わず、指を動かそうとも思わない。
ただそこに巻かれているのを、ただ見つめているだけ。

それが、妙に心地よかった。

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