メメのその宣言により 、
戦いに終止符が打たれたかと思われる 。
実際 、二人は能力を解除し ..
メメは地面に横たわりイエは膝に手をつき
息を整えている 。
── 突然 、生い茂っていた森の中から
一人の少女が出てきた 。
牡丹色の髪を靡かせ 、" 930 " と象られたピンを
つけた彼女 。
目を合わせていた
二人の視線が彼女へ移る 。
" グサオ " 。
そう呼ばれた彼女の本当の名前は 、
サオ・グルネス 。
人の心を読む程度の能力を保持していて 、
人の心の内を読み取り 、
能力を応用して人の脳内に語りかける事が出来る 。
グサオとは渾名であり 、
その渾名をつけたのはメメとイエの二人だ 。
サオの呆れたような言葉に 、
イエは苦笑いしか出来なかった 。
メメはそんな事をする気力も無いのか ..
左手で顔を覆ったまま 、
小さな声で ごめんね〜 とだけ呟いた 。
先程まで生きているのかも怪しかったメメは 、
サオの言葉を聞き 、文字通り飛び上がった 。
イエも口に出すことは無いが 、
まじか .. とでも言いたげな表情をしている 。
恐らく 、話し合いはそれ程重要なものなのだろう 。
それを放棄してまで争っていたのであれば 、
サオが呆れるのも無理は無い 。
私は先に行ってますからね 。
そう言い残し 、サオはこの場を離れた 。
その言葉を託された二人は 、
目を見合せ .. 同時に走り出す 。
ここだけ見れば 、ただ仲の良い二人組だ 。
ここだけ見れば ..... ね 。
小さな事でも喧嘩していないと
やって行けないのか 、
まるで子供のような争いを始めた 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!