他のモブ共はいつもそう言う。
ボクと赤が別れるなんてありえない。
……でも……
ボクと赤は絶対離れ離れにならない。
別れない。
今まで溜まっていた気持ちを全部吐き出す。
さすがにこんなんじゃもうやってけないなぁ。
ボクと赤の事否定するだなんて、絶対許さない。
ボクが制止すると彼は悲しそうに黙り込む。
ごめんね、赤。
でもボクらのためなんだから分かってよ。
〈ガチャッ〉
ヤツらは訳わかんない捨て台詞を吐いて消えた。
……この日からだった。
ボクと赤の関係性が大きく変わってしまったのは。
なんでだろ、前まで毎日パンケーキ食べたいって嬉しそうだったのに。
なんかつまんなさそう。
ここ最近、なんとなく感じているものがある。
まず、赤が素っ気ない。
まぁボクも素っ気ないけどさ。
なんていうか、あんなにイチャイチャ楽しかったのがバッカみたいで。
なんでこんなヤツ選んだんだろうとすら思えてきた。
あんなに楽しかった食事も、今や気まずいだけ。
〈ボコッ〉
ボクは怒りに身を任せて拳を大きく振り下ろした。
目の前には、殴られた痛みに顔を歪める……
……ボクの大っ嫌いなヤツがいた。
〈……ガチャッ〉
アイツもいつかのゴミ共と同じように、ドラマかなんかみたいなセリフを吐いて出ていった。
……今更理性を取り戻したってもう遅い。
……大嫌いなヒトは、もう消えてしまったのだから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。