~ないこside~
屋上に行くまでの間にすれ違わないように、」らんらん」と言いながら進んで行った。
反応が無いことから恐らく屋上にいるのかな、そう思ってたら屋上の扉の前まで着いた。
少しだけ誰かの喋り声が聞こえてきた気がした。
らんらんが1人で喋っているのか、或いは別の誰かが先に来ていてその人と喋っているのか。
どちらにしろ誰かは居るということが分かったから扉を開けた。
扉を開けたらそこには見知った2人の人物が居た。
1人は先程まで探していたらんらん。
そしてもう1人は、______
_____妹のあなただった。
2人とも、扉が開いたのに気づいたのか喋るのを辞めてこちらを見て驚いていた。
2人とも同時に喋っていて少し面白かったが、
それぞれに声を掛けた。
あなたはこの時間はまだ家にいるはず.......
特に用事もないと思うから何かあったのか、そう考えているとらんらんが気遣ったのか
そう言って、小走りで屋上から出ていった。
そしてあなたと2人きりになった。
何か話そうと思い口を開こうとすると、あなたが先に口を開きこう言った。
そう3文字だけ言って俺の横を通り過ぎて行こうとした。
でも、途中で歩く音が聞こえなくなった。
俺があなたの手を掴んでいたからだ。
俺が呼び止めると不機嫌そうにあなたは返事をした。
俺が質問を投げ掛けると少し間はあるがしっかりと返してくれた。
ただ、何時もとあなたの様子は違っているように見えた。
何時もの裏の気持ちが何かあったことにより表に出たのかもしれない。
そもそもあなたは何時から笑顔が消えたんだろう。
中1の嵌められた時からか?
嫌、______
______嵌められる前からずっと偽りの笑顔だったな。
本当の笑顔を最後に見たのは小学生に入るよりも前か。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。