少しずつ雨が降り出す黄昏時。
MMNTのアジトも、しとしと、と降る雫に包まれて。
しかし、静寂…には包まれていない。
あの過去話から1ヶ月、今日は7月の中旬。
アジト内部では、最近の他組織の行動について情報交換が行われていた。
TRMC。ざっくり言えば、
『最も有能な能力者による新秩序革命』だろうか。
一般人は巻き込まず自分たちのみで革命を目指すMMNTと対局で、
一般人を犠牲にしてでも目的の思想を叶える能力至上主義者の集団だ。
名前自体はMMNT程知れ渡っているわけではない。
ただ、近年の行動は看過できないものが多く、
要注意とマークしていた組織でもある。
TRMCは、MMNTの半分ほどの歴史がある。
MMNTは初期メンバーが創設してから14年。
現メンバー全加入から数えれば3年。
TRMCは創設から7年程度だ。
能力者こそ世界の頂点と考える彼らなら、
7年の間に人数を増やしていても何らおかしくない。
東京の山奥にあるMMNTの拠点に対し、
大阪の郊外、森の中。そこにTRMCの拠点はあった。
建物でいちばん大きなその部屋。
薄く付いた電気は、その中で話す2人を照らす。
酔桜、と呼ばれた彼女は答えない。
話の続きを待っているのだろうか、端麗な顔立ちでありながら無表情だ。
少し考えながらも彼女は淡々と答える。
その返答に、ヨイノミヤは含み笑いで言った。
彼は若干の圧をかけるようにして問う。
酔桜はそれに動じない。
酔桜が『ぶっ飛んでる』と言ったのも妥当だ。
何せ、能力者は主に日本人だ。
大戦の主な戦場も日本だったので、他国に比べて被害が甚大なのだ。
外国人の能力者もいるにはいる。
ただし、大戦で減った残りの人口は今や40億人。
それを更に減らす、しかもほぼ日本人と来たら
相当な時間がかかるだろう。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。