華菜side
私が朝、唯ちゃんたちにメイクなどをしてもらってから、なんだか教室は騒がしかった。
そして、やけにみんな私を見ている気がする。
え!?
もしかして、メイクが似合ってない!?
私は不安になって、とりあえず、鏡で見て見ようとカバンの中を漁る。
ところが、いくら探しても鏡は見つからない。
こんな日に限って忘れてきてしまったみたい。
私は仕方なく立ち上がり、トイレへ向かおうと席を立った。
トイレの鏡を見ようと考えついたのだ。
廊下に出ると、不安からどんどん早足になっていくのが分かる。
だって、廊下の人も私のことみてるんだもん!!
トイレの近くに来た時には、ほぼ小走りになっていた。
周りの目が気になって、キョロキョロと周りを見回しながら歩いていると、いきなり固いものにぶつかった。
驚いて顔を上げると、目を見開いている篠原君の姿が。
私がぶつかってしまったのだ。
いかにも怪訝そうな顔をする、篠原君。
もう、このメイクそんなに似合ってない!?
じわりと視界が歪み、鼻の奥がツンっと痛くなる。
篠原君を困らせるだけだってわかってるのに、、、
ボソッとつぶやくような声が、私の耳を掠める。
それは、私の涙が零れ落ちる寸前だった。
篠原君のその一言で、私の涙は引っ込んでしまった。
私が顔を上げると、篠原君は、まるで聞かれてはいけないことを聞かれてしまったかのように焦り、赤面した。
ほっぺた、、、赤い、、、?
私が頷くと、篠原君は「今日、日直だから」と、理由をつけて足早に去って行ってしまった。
さっきまでの緊張から解放すされると、急に頭が冷静になってきて、篠原君のあの言葉が思い出された。
『可愛い』・・・?
私が・・・?
思い出すと余計に照れてしまう。
私は、少し考えたのち、トイレには行かずそのまま教室へ戻ろうと決めた。
もちろんメイクは落とさずに。
何度も落とそうかと考えたが、心にひかっかった篠原君の『可愛い』がそれを許さなかった。
なにより、私が落としたくなかった。
篠原君のことだから、もしかしたらお世辞だったのかもしれないけど・・・。
それでもいいや!
そう思ってしまう程に、私の心は満たされていたのだった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。