翌日。京都を観光しながらお土産を買うことになった。
そう言って渡されたのはおまんじゅう。喜んで皆で手に取り、食べる。
あちらこちらのお店を回って、15分だけこの当たりのお店を自由にまわる個別行動にしようと言う話になり、私は最初のお店に向かった。何故かカルマくんが付いてくる。さっきの意味深な感じ、気になる…
突然なんの話しだろう。昨日?昨日は誘拐されたからそんなに平和な話はしてないと思うけど…
思い出した。カルマくんの浴衣姿、かっこいいなぁと思ったのが思わず口から出そうになって、誤魔化すためにレモン煮オレに話を振った。その後、飲みかけを飲むかって聞かれて私は…甘いのが苦手だと断った。
悪魔だ…ここに赤い悪魔がいる…
顔が熱い。
お前、このためだけに付いてきたのか?暇だな。まだ顔の熱は引かない。
帰りの電車内。カエデちゃんが京都限定味の紙パックジュースを飲んでいた。飲んでみる?と聞くので、一瞬目の前のカルマくんを見たあと…好奇心が勝ってしまった。1口飲む。別段美味しいとは感じなかった。にやにやした赤髪が気になってしまったから、と言うのもあるだろう。
そのままカエデちゃんがカルマくんに差し出す。普段は意識しないことだけれど、あんな話をした後だからか何故か意識してしまう。カルマくんはさっきよりもニヤッと笑って
そう言った。その場面を正面向かって見ていられなくて私は立ち上がる。
連結部分に付くと、暑くなった顔を手の甲で冷やしながら蹲る。落ち着いてきてから立ち上がり、飲み物を買おうとしたところで気がついた。
ため息をつく。いくら何でも慌てすぎだろう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。