それから数日が経ち。
その掛け声とともに一斉に銃声が鳴り響く。
声が小さくて聞こえないと言われながらもみんな返事をしていく。
正直、返事なんてすると気が散るんだけどなぁと思いつつ、欠席扱いにされても困るので声を張って返事をする。
あっ、ぶれた。もう少し左なら…或いは…いや、避けられていただろうな。
E組に来てからというもの、本校舎にいた時よりは授業態度がマシになっていた。それでも寺坂より圧倒的に悪い自覚はある。特に体育。あの超スピードの体育は受けるだけ無駄なので基本サボりを決め込んでいる。
昼休みになると渚くんが寺坂に外に呼び出されているのが見えた。大丈夫だろうか?寺坂に絡まれているように見える。傍から見たら寺坂がか弱い女の子を虐めているようにしか見えない。登校2日目に渚くんに「僕、男なんだ。」と訂正されたが、正直信じられなかった。今でも信じていない。
何かを渡され、不安そうな顔をする渚くん…声をかけに行こうと思ったが、先生が馬鹿でかい何かを持って降り立つ。びっくりした。渚くんも驚いていたようだが、少し話をしてから急に冷めた顔になる。顎を引き、先生を見つめる目になった。
ねぇ先生、気の所為じゃなければそれってミサイルじゃないですか?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!